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えのすいトリーター日誌

2020.03.23 トリーター:山本

2020/03/23 サカサクラゲのカシオソーム


ちょっと前、サカサクラゲについて書かれている論文が、とある雑誌に掲載されました。
そのタイトルは「Cassiosomes are stinging-cell structures in the mucus of the upside-down jellyfish Cassiopea xamachana」です。
一言でいうと「サカサクラゲの粘液中に、浮遊性の刺構造を発見した」という内容で、その刺構造は「カシオソーム」と名付けられました。
この論文を見てまず一番に、クラゲチームの先輩方がよく「サカサが入っている水は痛い!」と言っていることを思い出しました。
どうやら、その痛みの原因が分かったようです。
今回は、この論文を紹介していきます。

まず背景として、熱帯・亜熱帯の浅海でシュノーケリングなどを楽しむ人たちの間で、原因不明の痛みを感じる「刺す水(Stinging water)」という現象が知られていたそうです。
まさに、“えのすい”の水槽内でも同じことが起こっていたのですね。
これまで、この現象の原因は、他の生き物(小さなクラゲやイソギンチャク、その他もろもろ)と思われていたのですが、それがサカサクラゲのカシオソームだと分かったようです。

一体そのカシオソームとはどんなものなのでしょう。
実際に、“えのすい”で展示している「サカサクラゲ(Cassiopea sp. → つまり論文のサカサクラゲとは別種の可能性あり)のカシオソーム」を観察してみました。
サカサクラゲは、水槽に手を突っ込んで掃除をしていると、結構粘液を出します。


こんな感じです。
うわあ・・・ すでにツブツブが結構たくさん浮いている・・・ 。
これを取り出して、顕微鏡で観察してみると・・・


さらに拡大。


これですね。動いている。小っさ。
ほんとにあるんだ・・・!
もうちょっと拡大してみてみましょう。


細胞の集合体って感じです。直径は 1mm以下。
外側には、クラゲではおなじみの刺胞(毒針の入ったカプセル)と上皮細胞が、内側には、驚くべきことに褐虫藻(ちなみに役割は不明)が入っています。
さらに詳しく見ると、外側には動くための「繊毛」を持つ細胞などが観察できるのですが、今うちにある顕微鏡では写真でとらえることができませんでした・・・。




やや潰れたカシオソームでは、刺胞の中にある「刺糸(毒針)」が発射されているものがありました。
たくさんのこれに刺されたらと思うと・・・
考えただけでかゆくなってきます。これが「刺す水」の正体です。

サカサクラゲの水槽から粘液を取り出し、観察しようとした時、結構ほかの生き物(植物プランクトンや線虫など)がすんでいて、これが本当に「サカサクラゲ由来のものなのか」を証明するのって難しいなって思いました。
この論文では、カシオソームに含まれる毒素タンパク質を PCR分析することで確かめられています。

ところで、他のクラゲはカシオソームを持っているのでしょうか。
論文の中では、サカサクラゲに近い仲間のなかで、「Mastigias papua (タコクラゲ)」「Phyllorhiza punctata (ナンヨウタコクラゲ)」「Netrostoma setouchianum(エビクラゲ)」「Catostylus mosaicus (ブルージェリー)」「Aurelia sp.(ミズクラゲ属の一種)」にカシオソームがあるかどうか調べられていました。
分類的には「Aurelia sp.」が目レベルで他の 5種(サカサを含め)とは違います。
結果的には、「Aurelia sp.」以外のクラゲは、それぞれ似ているようで違うカシオソームを持っていたようです。
その中でも、どれとどれが似ている~というような記述もありますが、ややこしくなるので、ここでは省きます。
「カシオソームは、サカサクラゲたちが含まれるグループ特有のもの(進化的に獲得したもの)である」と言うためには、今後さらなる実験が必要のようです。

その他にも、もーーーーーっと詳しいカシオソームについての説明だったり、観察や分析の手法だったり、(正直めちゃくちゃ難しくてわからないところもあります・・・)考察だったり、気になる情報満載です。
よく知っている気でいたサカサクラゲでも、研究視点で見れば知らないことだらけなんだなーと痛感しました。

このサカサクラゲのカシオソームが、実際に自然界でどのような働きをしているのかは、まだ考察の段階のようですが、どうやって敵から身を守るのか、餌をどう捕まえるのか・・・ 想像がより一層はかどりますね。
そして、海水浴を楽しむ人たちにとっても、より安全な遊泳方法(肌を出さないとか、サカサクラゲに不用意に近づかないとか)が分かりました。
こんな感じで研究が進んで、むやみやたらにクラゲを悪者にすることのないような、上手に付き合っていける世界になればいいなあ。
また気になる論文があったら紹介していきますね。

クラゲサイエンス


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