2020年05月11日
トリーター:伊藤

水族館のアマビエ

アカメアカメ

アマビエという妖怪が話題のようです。
「疫病が流行した時は、私の写絵を人々に見せよ」と告げたと伝えられています。
世間では、この言葉から「アマビエの絵を見れば疫病が収まる」と解釈されているみたいです。
ここでは深く突っ込まず、そう思うことにしまして、今回はアマビエの正体に迫ってみたいと思います。

色々調べてみたところ、アマビエに関する手がかりとして、

肥後(現在の熊本あたり)の海面に現れた。

その時、まわり(海?アマビエの体?)が光って見えた。

口がとがっている。

体にウロコがある。

足(または尾びれ)が3本ある(ように見えた)。

手はない(目立たない)。

などがあるようです。

これらに合致する生き物を考えていましたら、あれ、“えのすい”にいる?と気づきました。
そう、アカメです。
・・・ まあ、理由を聞いてください。

まず、妖怪と認識されるからには、それなりの大きさがあったと思うんです。
アカメの最大サイズは 130cm以上。いい大きさです。
次に生息環境。当時の人が近づける場所なので、沖合や深海ではなく、沿岸の浅所だと思われます。当たっています。

目撃された肥後の海。現代のアカメは絶滅危惧種で、よく見られる場所は限られます。それが四国から九州の沿岸部です。肥後から近いです。

口がとがる、確かにとがっています。

体にウロコ。魚の中ではかなり目立つ方です。
まわりが光って見えた。かなりギラギラ輝く体です。当時、松明などで照らされれば、その眼はいっそう赤く光って見えたでしょう。

足が3本。尾びれの他、背びれとしりびれが大きく、かなり後ろに寄っています(これは苦しい・・・)。

その他、大きく盛り上がった後頭部に切り立った背びれは、古文書に描かれた長髪に見えなくも・・・ないです。

ということで?
当館のアマビエことアカメ。いるのは相模湾ゾーン。実は本種、相模湾からごく数例ですが記録がある、れっきとした相模湾生息魚種です。
また、大水槽にはよく似たヒラスズキが 2個体います。こちらはなかなかのサイズです。
開館しましたら、ぜひご覧いただきたいと思います。

長々とこじつけ、失礼しました。
それはさておき、私も自宅で息子と一緒に、アマビエを描いてみました。
息子は古文書に意外と忠実。アマビエの絵は「みなさまにお見せ」してこそなので、恥ずかしながら。



相模湾ゾーン

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