2020年08月09日
トリーター:鈴木

ヤマトカマス展示継続中

ヤマトカマスヤマトカマス

こんにちは、鈴木です。
本日は、見てかっこいい、焼いてとってもおいしい、飼ってかなり難しい、カマスのお話です。
カマスという魚はご存じでしょうか?
見た目は口が長く、ギザギザのとがった歯がまるでワニのように見える強そうな魚ですが、飼育してみると実はとっても繊細で上品な魚です。
他の魚と喧嘩はせず大人しく、餌を食べる時もガツガツと一気に食べず、水中に漂うエビや魚の切り身などの餌を、さっとまるで長い口を箸のごとく使って、一つずつ上品に食べるんです。

旬は秋で、「秋カマスは嫁に食わすな」という諺があるほど、昔からおいしい魚として有名なカマスですが、日本に生息する9種類ほどのカマスの仲間のうち、国内で食用となるカマス類は主にアカカマス(本カマス)とヤマトカマス(水カマス)です。
みなさんがスーパーの鮮魚店で見かけるカマスもこの2種類で、多くは( )で書いた流通名で売られていると思います。本カマス(アカカマス)に比べ、身に水分が多いことから水カマス(ヤマトカマス)と呼ばれ、一般的には脂が多い本カマスの方が美味しいとされ、値段も水カマスよりやや高めのようです。

さて、この一見同じ魚にしか見えない、カッコよくて、おいしい、2種類のカマスですが、えのすいでは数年前から定置網に入ったものを採集し、飼育にチャレンジしてきました。
しかし、飼育は非常に難しく、これまで長期飼育に成功したのは現在飼育している1匹のアカカマスだけです。(現在、展示5年目継続中)。
この結果を出すまでにも、とても苦労しましたが、もう一方のヤマトカマスはさらに飼育が難しく、餌付けすらうまくいかず多くは数日以内に死んでしまっていました。
これは、アカカマスに比べ、鱗が細かく擦れに非常に弱いことや警戒心が強いことなどが考えられます。

しかし、なんとこの度、7月に入ったヤマトカマスの餌付けに成功し、現在約1か月の展示ができております。
今までカマス類の入手は全て定置網でとれた成魚(約30cm)のみでしたが、今回、初めてとなる釣りによる採集個体で、擦れが少なく、さらに若魚(15㎝)ということで水槽に慣れるのも早く、早々に餌付いたと思われます。
手ごたえを感じ順調と思われたヤマトカマスの飼育ですが、展示2週間後あたりから病気が出始め、当初10匹以上いたものが現在残り2匹となってしまいました。
やはり、楽には行きませんね・・。今回出てしまった病気は、主に飼育が難しく水槽にいる状態が常にストレスになってしまうような、繊細な魚種に多い病気です。
改めて、カマスの飼育の難しさを実感しておりますが、残ったヤマトカマスの飼育に全力で臨みたいと思っています。

アカカマスとヤマトカマス、スーパーでもお馴染みのこの2種類のカマスが見られる水族館は実はほとんどありませんよ。
餌はよく食べていますが、まだまだ状態は安定しないので、申し訳ありませんが、いつ展示が終了するかわかりません。お越しの際はぜひお早めに!

それでは最後に、今回のヤマトカマス展示の功労者である、えのすい非公式グループの“釣り部”をこっそりとご紹介・・。その名の通り釣り好きトリーターが集まった、えのすいの釣り師集団です。
今回のヤマトカマスの釣り採集部分はこの釣り部のトリーターにお任せしました。
実は今までも魚類の展示を陰で支える存在として、コツコツと結果を残してくれていましたが、今回のヤマトカマスの一件で一気に株が急上昇です。
メンバーは秘密ですが、少数ながら精鋭ぞろいで、これからも強力な助っ人として活躍してくれること間違いなしです。釣り部の皆さん、いつもありがとう!


アカカマス

※今回搬入したカマスの展示は終了しました。

太平洋

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