2020年09月07日
トリーター:伊藤

上陸カエルウオ見つけた!

カエルウオカエルウオ

カエルウオ。「エノシマエ」の学名を持つ江の島を代表する魚です。
当館では、相模湾ゾーン 沿岸水槽の一角で展示中です。

さてこの魚、その名の通り陸上をはねるのが得意だといわれています。
ただし、野外においてその行動を見せることはほとんどありません。
陸のある水槽で飼育していても同様です。
近い仲間のヨダレカケやタマカエルウオでは、波しぶきのかかる陸上での活動がよく見られます。
カエルウオがはねるようすを見るには、ちょっとかわいそうですが、陸上に置いてあげるのがてっとり早いです。
想像以上に巧みで、きちんと頭を上にして、自分のはねたい方向にぴょんぴょん逃げていきます。おそらく、よっぽど困った時用の能力なのかなと想像していました。

ところが先日、本種が上陸している現場をついに見ることがかないました。
江の島で調査をしていた際、岩に空いた穴を何気なくのぞき込んだら、たたずんでいました。


本種がこういった穴に入ったり、穴の中で卵を産む習性を持つことはよく知られていますが、驚いたのはその高さ。水面から 50cmほども高い位置(潮間帯中部)です。


卵を守っているかどうかは分かりませんでしたが、私が何度ものぞいたり、フラッシュをたいて撮影しても逃げなかったことから、よほどこの場所に執着があったものと思われました。
あえて、半乾きのこの場所にたたずんでいた、ということになると思います。

水中に比べて、時間によって陸上化するこういう場所は、外敵が少ないのかもしれません。
近い仲間のイダテンギンポなどでは、このように陸上化するカキの群れの隙間に産卵する習性があるので、もしかするとカエルウオも同様なのかもしれません。興味深い場面でした。

コロナ禍中は野外にもあまり出られませんでしたが、生物のナマの姿を見られるのは、やはり楽しいです。

相模湾ゾーン

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