2021年08月09日
トリーター:今井

みんな「主役!」

本日、ご来場中のお客さまから「カブトアヤボラ」の展示場所のお問い合わせがありました。
本種は100~400mの深い海にすむ 10cmほどの巻貝です。肉食性のためか、カニやエビを獲るためのカゴに仕掛けられた魚肉に誘われて、混獲されたものを漁師さんなどからいただいて展示しています。ちなみに名前の最後に「ボラ」と付くのは、ホラガイ(法螺貝)の仲間という意味で、当館には他にも「ボウシュウボラ」や「カコボラ」がいます。

さて、案内に向かいますと、ご質問されていたのは小さなお子さまでした。
「深海Ⅰ」の水槽にいたものはどこに行ったのですか?とのことでした。
現在は「太平洋(冷たい海)」にて展示しているので、そこに案内させていただきました。
(ちなみに水温は6.5℃です。)

それだけの出来事なのですが、小さなお子さまが目立たない生き物に興味を持たれていたのが、私にはとても印象的でした。
「どうか見える場所を這っていてくれ・・。」と願いながら向かったのですが、残念ながら後ろの壁に貼り付き、休んでいる貝殻の姿しか確認できませんでした。
将来の貝学者のきっかけが薄れてしまったら・・。
やはり水族館ですから、生きている貝の顔くらいは見られるようにしたいです!


その個体の動画を撮りましたので、ご覧いただければ幸いです!
採集された時は、薄茶色で殻皮毛と呼ばれる細かい毛におおわれていましたが、もう数年水槽内で暮らしているので、徐々に毛が無くなり、地の白い殻が目立って来ています。

それにしても、展示水槽内では脇役?のように見える巻貝を、目当てにされていたお子さまがいらっしゃった事実に、私は嬉しい気持ちで一杯になりました。

さて、コロナ禍での長い会話は失礼と思い、その場では控えてしまったのですが・・、
「どうして、この貝に興味を持たれたのでしょうか?」

本当にお聞きしたかったですね~。
もしかしたら
「うまく吹けるかな・・?」
でしたら、立派な演奏家になってくださいね!

太平洋

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