2022年01月17日
トリーター:西川

カブトアヤボラの繫殖

カブトアヤボラの卵カブトアヤボラの卵

「太平洋」の冷たい海のスケトウダラを飼育している水槽で、こんなものを発見しました。
白いツブツブしたものが円形に並んでいますが、実はこれ、カブトアヤボラという貝の卵なんです。
カブトアヤボラはホラガイと同じ仲間で、水深 100~400mに生息しています。
砂地を好んで生活していて、底曳網漁で採集されることが多い生物です。

カブトアヤボラカブトアヤボラ

本来であれば大きな石や岩壁に産卵するのだと思いますが、水槽内の石はお気に召さなかったようで壁に産卵していました。
よく見るとツブの一つひとつが袋状になっていて、その中に卵が入っています。
この卵がいつ ふ化するのか、正確な情報がないのでわかりませんが、実はこの水槽のとなりの水槽では、ふ化して稚貝になったカブトアヤボラがいます。

カブトアヤボラの稚貝カブトアヤボラの稚貝

イソギンチャクの根元にいる白い貝が、ふ化したカブトアヤボラです。
カブトアヤボラの繁殖に力を入れていたわけではありませんが、水槽の環境に適応して力強く生きてくれています。
卵を含めて今後の成長過程を観察し、産卵床の好みやふ化までの日数を探っていきたいと思います。
ちなみにカブトアヤボラの稚貝は、フウセンウオを飼育している水槽にいます。

フウセンウオの幼魚フウセンウオの幼魚

フウセンウオも産まれてから数か月の幼魚なので、たくさんの小さな生物がいるかわいい水槽になっています。
フウセンウオの鮮やかな色と比較するとカブトアヤボラは地味かもしれませんが、ぜひ探してみてください。

太平洋

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