2022年01月27日
トリーター:加登岡

休館日の作業

今年も休館日の日がやってきました。設備点検のために毎年3日間ほど休館をしております。水族館は休みなので飼育員もお休みかというと、そういうわけではありません。むしろ大忙しです。
普段なかなか開館中にできない作業をまとめて行います。そのため普段よりもむしろ出勤している飼育員が多くなります。
各担当者は水槽の展示替えや掃除などで館内を行ったり来たりしています。
私もトロピカル水槽のメンテナンスを実施しました。水槽にある擬サンゴを全て抜き、コケ掃除を実施。そのため、水槽の中は殺風景です。

あとは擬岩の隙間を埋めました。この擬岩は中が空洞になっており、正面からはわからないのですが、後ろに大きく口が開いています。そのため、中に魚たちが自由に侵入できるようになっていました。この水槽で最も大きなドクウツボとニシキエビもこの空洞を好んで入り、表から姿が見えないことが多かったのです。

ですが、このたびこの口を塞ぎました。そのかいあって、展示の狙いの位置にドクウツボが来てくれるようになりました。
明日からこれでみなさんに見てもらえるはずです。

それと話は変わりますが、イトヒキアジの展示が半年経ちました。
始めは小さかったイトヒキアジも随分と大きくなりました。昔はご家庭にあるようなボウルに入れて移動しましたが、今ではそのボウルの中に納まらないくらいの大きさとなりました。

ただここまで来るのも簡単ではありませんでした。ベネデニアという寄生虫がつきやすいからです。ベネデニア自身は淡水に弱く、淡水浴することで撃退することができます。そのために定期的に淡水浴をしていました。また、このベネデニアを撃退するために、水槽を汽水にしたこともありました。

これによりしばらくはベネデニアがでなかったのですが、海水にもどして1か月経ったところでまた現れました。次なる手段として、生物兵器を投入することに。その名もホンソメワケベラ!クリーナーフィッシュとして有名ですね。生物には生物で、ということでイトヒキアジの水槽に投入です。
投入直後、クリーニングしてもらうのが好きなホウキハタは大きな口を開けて待機。モンガラカワハギやミヤコテングハギも順番待ちしておりました。

一方のイトヒキアジはというと…
捕食しようとする動きが…Nooooooo

かなり怪しい動きが見られましたが、その都度水中で阻止し、落ち着いた所で、水中から上がり、見守ることに…
その日はいつもり早い時間に消灯し、魚たちを落ち着かせることにしました。

翌日の朝は出勤時にそわそわしました。ホンソメワケベラの生存を確認。ホッとした瞬間です。
そして、3日目にはついにイトヒキアジがクリーニングをしてもらっているではないですか!
しかも順番待ちしている!! 普段あまり留まることのないイトヒキアジが3匹並んでいました。これで寄生虫を撃退できるか結果を観察していきます。


休館日の話よりもイトヒキアジの話の方が長くなりましたね。
他の水槽では大きく展示変更した場所があるようです。ぜひ併せてご覧ください。

※ニシキエビの展示は2023年2月17日をもちまして終了しました。

太平洋

RSS