2022年04月13日
トリーター:杉村

ユノハナ母さん、子育て奮闘中!

先月の下旬ごろ、深海Ⅰのユノハナガニを公開している水槽で真っ赤に染まったお腹を大きなハサミでシャオシャオしているユノハナガニを見つけました!
これは紛れもなく、卵をお腹に抱えた“ユノハナ母さん”の行動に間違いありません!
数年ぶりに飼育中のユノハナガニがお腹に卵を抱えてくれて、とてもうれしいです。

“ユノハナ母さん”は、現在展示水槽ではなく、育成用に特別に作った水槽で子育てに奮闘してくれています。
育成水槽は深海のバックヤードにありますが、展示エリアののぞき窓から見ることができます。
“ユノハナ母さん”の行動は、幼生が放出されるまで毎日撮影を行って、卵の成長段階によってどのように温水を利用するのかなどを記録しています。
ちなみに、今は温水の出ているパイプに卵を押し当てて温めたり、大きなハサミや脚を使ってお腹の卵をシャオシャオ掃除しているようすが観察されています。
※のぞき窓からフラッシュなどの強い刺激は当てないでくださいね。

ユノハナガニは深海の温泉が噴出する場所(熱水噴出孔周辺)が大好きで、寒い深海の中で温泉の出る場所に集まって生活していることはよく知られています。
※名前のユノハナは「湯ノ花」が由来です。

これまで、“えのすい”ではユノハナガニと温泉の水温との関係について、飼育を行いながらさまざまな実験・研究をおこなってきました。
その結果、ユノハナガニには好きな水温があって、熱水の水温によって行動が変化することが分かってきています。
また、熱水(温水)で抱卵した卵を温めながらお世話をすることも分かっています。
ですが、ユノハナガニの卵の育成については、例があまり多くないために試行錯誤の繰り返しです。
親ガニが卵の育成に必要する適正な水温は何℃なのかなど分からないことも多いため、“えのすい”では幼生の放出までうまくいっていません。
数少ない先行研究やこれまでの“えのすい”での飼育を活かして子育てをサポートできればと思います。

幼生の姿が見られることを願って、私も奮闘していきます。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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