2022年06月04日
トリーター:矢作

夜中の救命対応

先日、初めての当直業務(“えのすい”では飼育担当が毎日交代で 1人、水族館に泊まって生き物や設備にトラブルがないかチェックしています)を先輩トリーターとともにおこなったときのこと。

23時になり、懐中電灯を手に、1回目の見回りを始めます。
どんなところに気をつけて館内を巡回するのかを丁寧に教えてもらいます。

例えば・・・
魚のいる水槽は、「空気を送り込むためのエアレーションがしっかり稼働しているかどうか。」、大きな生き物は、「頭数・羽数を確認し、しっかり呼吸をしているかどうか。」、バックヤードでは、「水漏れなどがおきていないか。」など、お客さまから見える部分もそうでない部分も、一つひとつしっかりと確認していきます。

クラゲ水槽のエリアに来て、こちらも水槽を一つずつ確認していると・・・
クラゲが水槽の下部に溜まっている水槽が!!!
近くに寄って見てみると、動いているクラゲもいれば、動きが弱々しいクラゲも。
水槽内の水の流れは止まっているようでした。
これはおかしい!!と、すぐに状況確認と原因究明です。

その水槽の中にいたのは、『キタユウレイクラゲ』と『キタミズクラゲ』です。冷たい海に生息する種類のクラゲで、適した水温を維持する必要がありました。また、クラゲは水槽内の水の流れが長時間止まり、水槽のアクリル面に触れ続けると傘が削れてしまいます。この状況が長く続けば、クラゲたちは死んでしまいます。

キタユウレイクラゲキタユウレイクラゲ

先輩トリーターはすぐに設備担当に連絡し、現場に駆けつけてもらいました。
水槽周りを点検してもらいましたが、水槽をすぐに元の状態に戻すのは難しいとの判断から、クラゲたちを回収し、バックヤードへ。温度が管理された冷たい水の中に移しました。

バックヤードに緊急避難バックヤードに緊急避難

先輩トリーターの迅速な判断と対応で、クラゲたちは命を落とすことなく今はバックヤードで生活しています。

キタユウレイクラゲキタユウレイクラゲ

当直業務は、何も異常がなく翌日の朝を迎えることが一番良いのですが、万が一何かが起きた時にどう対応するか。とても良い経験になりました。

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