2022年06月17日
トリーター:笠川

まだまだ

昨年より、沿岸水槽で立派なコブセミエビを展示しています。大きくてゴツゴツした体つきがカッコいいですよね。大きなハサミ脚を持つものもカッコいいですが、最近は、このタイプのものが好きかもしれません。おそらく、ジェリーフィッシュライダーの育成でウチワエビの仲間により深く関わったからかもしれません。

セミエビの仲間やウチワエビの仲間、イセエビの仲間の幼生は、「フィロゾーマ幼生」と呼ばれ、その時期にクラゲ類を乗り物兼食料として利用することから、「ジェリーフィッシュライダー」とも呼ばれます。ちなみに、フィロゾーマ(phyllosoma)はギリシャ語由来で、phyllo=葉っぱ、soma=体 の意味だそうです。親とは似ても似つかない不思議な魅力的な生き物です。

ふ化したばかりのオオバウチワエビのフィロゾーマ幼生ふ化したばかりのオオバウチワエビのフィロゾーマ幼生

この大きなコブセミエビも、お母さんの抱えていた卵から放出されたときは、ほんの数ミリの小さな小さなプランクトンです。

実は、残念なことに展示には至らなかったのですが、今年もバックヤードで、ジェリーフィッシュライダーチャレンジをしていました。ウチワエビのフィロゾーマを5月からつい先日まで飼育していました。
ふ化したばかりは体の大きさが3ミリほどでとても小さいので、少し大きくなってからと思っていたのですが、力およばず。4回目の脱皮まではいったのですが、うまくいかず息絶えてしまいました。
昨年は、ウチワエビもオオバウチワエビも順調に、フィロゾーマ→ニスト→稚エビといったので、少し自信があったのですが、まだまだですね。生き物はやはり一筋縄ではいかないようです。来年またチャンスがあればと思っています。

ちなみに、昨年、稚エビになったオオバウチワエビは、今月、稚エビになってからの2回目の脱皮に成功して順調に大きくなっています。展示に出ていないので、みなさんにお見せできていないのが残念なのですが、こちらで紹介させてください。

右:ニスト→稚エビになったもの(11個体いる中で唯一まだ次の脱皮が終わっていない個体)、中央:稚エビになって1回目の脱皮を終えた個体、左:今月2回目の脱皮を終えた個体右:ニスト→稚エビになったもの(11個体いる中で唯一まだ次の脱皮が終わっていない個体)、中央:稚エビになって1回目の脱皮を終えた個体、左:今月2回目の脱皮を終えた個体

海の中でずっと成長を見守るのはかなり難しいことですが、飼育下であれば、いろいろなことを知ることができるんだなと感じながら、日々の成長を見守っています。

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