2022年09月29日
トリーター:山本

流れ星を追って

ここ数日、クラゲファンタジーホールではちょっと珍しいクラゲを展示しています。
ぜひみなさまに見ていただきたいクラゲですので、ちょっと懐かしい「今週のおすすめ」のような感じで紹介していきます。
短期間の展示となってしまうかもしれませんので、お早めに!

和名:リュウセイクラゲ
学名:Meteorona kishinouyei
分類:刺胞動物門 箱虫綱 ハブクラゲ目 ヒサシリッポウクラゲ科

9月28日から展示しています。リュウセイクラゲは、2015年に新科新属新種として記載された、比較的新しいクラゲです。この記載で登録された標本(パラタイプ)の中には、2011年に採集された江の島産のものも含まれています。
つまり、江の島とも深い関わりのあるクラゲなのです。泳ぐ姿が流れ星のように優雅であることから「リュウセイクラゲ」と名付けられました。

いろいろと違いはありますが、パっと見 夏によく出るアンドンクラゲにそっっっくりです。
知っていなければとても違う種とは思えません。一番見分けやすいのは、傘の上部。
黄丸で囲った部分を見ていただくと、リュウセイクラゲは四葉のクローバーのような模様が見えます。
ここさえ見れば、行燈(あんどん)の群れの中からでも「流れ星」を見つけることができるのです。

実は、今回展示している個体は私が茨城県で採集してきたものです。日の出前、とある漁港に行ってみると・・・定置網船が出船の準備をしており、その灯りにアンドンクラゲとリュウセイクラゲが集まっていました。
柄杓(ひしゃく)でそっとすくって、持ち帰りの容器に移します。
この手のクラゲは採集後、輸送する時にコツが必要で一つの容器にたくさんごちゃっと入れてしまうと触手が絡まって弱ってしまうんです・・・。
そのため、基本は一つの容器( 3Lくらい)に一個体ずつ。傘に空気が入らぬように、しっかりと抜いて丁寧に輸送します。
重量オーバーで悲鳴をあげてるキャリーケースを引きずりながら、慎重に慎重に、水族館に搬入しました。
輸送や搬入は、気を抜くとせっかく採集したクラゲが一晩でボロボロになってしまうことがあり、その日の夜は無事に展示できるかどうかと結構不安です。
そんなこんなで採集してきたリュウセイクラゲですが、今朝の時点では状態がとても良く、触手をスラーッと伸ばしながら水槽の中で力強く泳いでいます。餌にシラスを与えてみると、しっかりキャッチしてくれました。


かなり力を入れて持ち帰ったクラゲなので、愛着がすごいです。
なるべくみなさまに見ていただけるように、飼育を頑張りたいと思います。ぜひご覧ください。

クラゲファンタジーホール

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