2022年11月21日
トリーター:黒川

あのモヨウフグが!

みなさんこんにちは!

つい最近までトロピカル水槽で展示していたモヨウフグですが、隣の隣の隣、太平洋 暖かい海の水槽に移動しました。

さまざまな生き物を飼育する機会のある飼育員をしていると、魚たちって種類や個体によって全く性格が違うし、魚同士の相性ってあるんだなぁ、と思うことがしばしばあります。

今回お話しするモヨウフグの性格は、「フグの仲間が持っている強靭な歯で、ホースや配管を噛んで悪さをしちゃうフグ」というイメージでした。
ホースだったらまだ良いのですが、他の魚のひれもかじってしまう強気な性格で、水槽に入れる前は、他の魚との組み合わせ、水槽に仲間入りさせる順番、タイミングなど特に悩む魚です。

去年の 9月頃に“えのすい”にやってきたこのモヨウフグは、その時はまだ 5㎝くらいの大きさで、とぼけたような愛らしい顔をしており、ころっとまん丸で、とてもかわいらしいサイズをしていました。
見た目が似ていたので、勝手に「ひとくち黒糖まんじゅう」と名前を付けていました。

↑少し大きくなってきた「ひとくち黒糖まんじゅう」↑少し大きくなってきた「ひとくち黒糖まんじゅう」

トロピカル水槽で 1年 3か月を過ごし、今はというと、、、
正面から見ると、大きめのあんぱんくらいのサイズになりました。

名前を「ずっしり大満足あんぱん」に改めたくなるくらい大きくなってくれました。
最近は、せっせと潜水給餌をしている私の指を正面から堂々と噛もうとしてきます。
もう以前のかわいらしい黒糖まんじゅうの面影はありません。

自分より大きなダイバーにも怖がらずガンガン向かってくるので、他の魚をかじったりしないか心配していましたが、まさかのまさか、体の小さなトゲチョウチョウウオにいじめられてしまいました。

↑こちらがトゲチョウチョウウオ↑こちらがトゲチョウチョウウオ

トゲチョウチョウウオに眼を何度も突かれたモヨウフグは、眼が白く傷つき、サンゴの陰に隠れてひっそりとしていました。
傷が酷くならないよう、水面までモヨウフグを上げて眼に薬を塗ります。
モヨウフグは、眼の周りの表皮をギュッと真ん中に集めて、眼を瞬間だけ閉じることができます。
薬が気持ち悪いのか、ギュッと眼を閉じて抵抗してきます。
水槽へ戻すと、またさっきと同じサンゴの陰に隠れてしまいました。
こんなにしょんぼりして落ち込んだモヨウフグを初めて見たので、なんだかかわいそうで目が潤んでしまいました。
これ以上、2匹の同居(同魚)は危険と判断して、暖かい海の水槽に移ったという訳でした。

まさかモヨウフグに向かっていく魚がいるなんて、、、しかもトゲチョウチョウウオ、きみ、そんなことやっちゃうくらい強い性格だったのか、、、
今まで 1年以上も一緒に生活していて問題なかったのに、急にこんなことになるとは、、、とたくさんの驚きがあり、どんな魚にも性格や相性があって、一匹一匹しっかり観察して見極めなければいけないな、と学んだ事件でした。

水槽を移動したモヨウフグは、眼も完治してすっかり元気になりました。
これからもすくすく大きくなってね!

太平洋

RSS