2022年12月15日
トリーター:渡部

深海担当の年末

みなさん、こんにちは。渡部です。
早いもので、今年も残すところあと半月になりました。寒さも厳しくなってきましたね。
さて今回は、深海担当ならではの仕事を紹介します。

トリーターの仕事というと、生き物・展示に関わる作業や、解説・ショー出演、野外調査などがありますが、深海担当には「しんかい2000」の掃除というちょっと変わった仕事もあります。
「しんかい2000」は、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の有人潜水調査船で、これまで 1,411回の潜航をおこないました。
世界中の研究者を深海へ案内してきた「しんかい2000」でしたが、 2002年に引退しました。
その後、その功績や深海研究の魅力を伝えるため、“えのすい”にやってきました。

「しんかい2000」は相模湾で最も多く調査をおこなっており、1984年の初島沖調査潜航では水深 1,100 m地点でシロウリガイの集団を発見しました。
この発見により、日本の深海にも化学合成生物群集があることが明らかとなりました。
まさに、日本の深海研究の土台をつくったといっても過言ではありません。

さて少し話が広がってしまいましたが、毎月おこなう「しんかい2000」の掃除では、拭き掃除やコックピット内の除湿剤の交換などをおこないます。特にスラスターの部分は、ほこりが溜まりやすいので念入りに掃除します。

スラスターを拭き掃除するようすスラスターを拭き掃除するようす

さらに「しんかい2000」の上に乗って、モップ掛けをします。なんだか不思議な感じです。

「しんかい2000」をモップ掛けする八巻トリーター「しんかい2000」をモップ掛けする八巻トリーター

周りも念入りに掃除機で吸い取ります。

掃除機で「しんかい2000」の周りを掃除する杉村トリーター掃除機で「しんかい2000」の周りを掃除する杉村トリーター

掃除は毎月おこなっているのですが、年末恒例の公開整備の直前だったので、今回はいつも以上に丁寧におこないました。
公開整備とは、元「しんかい2000」運航チームのみなさまに「しんかい2000」のメンテナンスしていただいているようすを紹介するイベントで、2年前からは“えのすい”の公式YouTubeでライブ配信をおこなっています。
今回は恒例の外皮(外側を覆っている白い板)の交換、深海調査のカメラのお話、普段は見ることができないコックピット内の紹介などをおこないました。
アーカイブもまだご覧いただけますので、気になる方はぜひご覧ください!
第3回「しんかい2000」オンライン公開整備

「しんかい2000」は深海研究を支えてきた、日本が世界に誇るべき素晴らしい潜水調査船です。
これからも大切に展示し、みなさまに深海の魅力や数々の功績を伝えていきたいと思います。

深海Ⅱ-しんかい2000-

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