ペンギン担当の石川です。
鳥好きですが、鳥好きだからペンギン担当をしているわけではありません。
せっかく5月10日にトリーター日誌が回って来たので、愛鳥週間をお伝えしなければと思いました。
はじまりは1894年にアメリカで、4月10日をバードデイに決めたところから、日本でも1947年4月10日に「愛鳥の日」を定めたそうです。しかし、アメリカとの気候差もあり、日本では地域によってはまだ寒く、もっと野鳥が活発に飛び交う時期の5月へずらし、1950年5月10日から16日までの1週間を愛鳥週間と定めたそうです。
その趣旨は「野鳥を含む自然環境と人が共生できる環境の実現を目指すこと」・・・現在でいうSDGsとも重なりますね。
さて、なぜ鳥が好きになったのか?・・・記憶にあるのは、幼少期に父親が、山で野生のオスのキジを2メートルくらいの距離で見せてくれた感動や、怪我したスズメを保護していたときの体験が影響しているのだと思います。
一度興味をもつと、もっと観察してみたり、本を読んだりします。
“空を飛ぶ”ことへのあこがれと重なるところもあります。鳥目線くらいの高さ、最近ドローンが登場して身近な空撮映像が出回っていますが、ちょっとした景色が少し高い位置から見るだけで別世界に見えます。まさに鳥目線、あれくらいの高さを自由に飛べたら素敵だとおもいませんか。
「星の王子様」で有名なサンテクジュペリはプロペラ時代の飛行機乗りで、その話をいくつかの小説に残していますが、その中で空を飛んでいるときの描写がたびたび出てきます。たたみかけるような何重にも重なる色、光、雲、風を頭の中で映像化しようとするのですが、追い付けないほどのあふれるばかりの表現なのです。鳥は人より何倍も解像度が高い網膜であんな世界を見ているのだと思うだけでなんかわくわくしちゃうんです。
鳥の生態へ興味もあります。
いろいろな本やインターネット上の話なのでどこまでが真実なのかはわかりませんが、
ある猛禽類の愛の表現(ディスプレイ)では空高く 2羽で上昇し、そこで足を握り合って回転しながら急降下するんだそうです。ダイナミックな愛の表現じゃないですか。
アホウドリの仲間では子育てが終わると一旦番(つがい)は分れて大海原を旅して生活し、また繁殖時期になると同じところへ戻って来て、同じ相手がいればまた、一緒に子育てをする。こんな生活を60年も続けている野生のアホウドリがいるなんて、最高な生き方じゃないですか。
ツカツクリという鳥は雄が、卵を温める塚を作って、雌に塚が気にいってもらえたらカップル誕生、ほどなく雌は卵を塚へ産んでバイバイしてしまう、雄は雛が生まれるまで日々塚の温度と湿度調節を行います。雛は孵化すると父親とも会わずにそのままバイバイ・・・この生活を変えようと思ったことはないのかな?
カッコウは他の鳥の巣へ卵を産んで自分では温めたり育てたりはしません。産み付けられる鳥もカッコウには警戒し、中には産み付けられたことがわかってしまうこともあり、卵を捨てたり、巣を放棄することもあるようです。実は自分で温めたり育てたりしないのに、産み付けた鳥のことをカッコウはちゃんと見ているらしいのです。
このように見破られたことがわかった場合、産み付けた番(つがい)の巣を壊しちゃうんだそうです。その遺伝子を残さないためにという説もあるそうです?!
さらに産み付ける対象の鳥も 1種じゃなくて変化していっているらしいのです。・・・そんなに気になっているくらいなら、自分で育ててみればいいのに。
南極の夏にアデリーペンギンは雛を育てますが、エンペラーペンギンは南極の冬に雛を育てます。雛がもっとも餌が必要な時期に餌がもっとも豊富になるからとはいえ、なぜ雛をそだてるのにマイナス60度にもなる時期を選ぶのか?・・・確かに敵はいない、尋常じゃ無く寒いもの!
担当しているフンボルトペンギンたちからは、賢いようす、ぼけぼけなようす、感動、涙などなど、日々驚きや発見が絶えません。
鳥インフルエンザも猛威をふるっていますので、みなさまへぜひ鳥を愛でてくださいとはいいません。
鳥が苦手な人もいると思います、愛鳥週間だからって鳥じゃなくてもいいんです。
植物でも、クラゲでも、魚でも、タヌキでも、モンシロチョウでもいいんです。
その生命と共存できる環境は私たちが生きやすい環境につながります。
SDGsを難しく感じる方も、そういったきっかけから入るとそれにかかわるたくさんなことが見えてきます。
“えのすい”にいるたくさんの生き物たちの“誰か“がみなさんの心に何かを与えてくれるにちがいありません。
この機会にぜひ一歩近づいてみてはいかがでしょうか。