2023年08月10日
トリーター:小森

\1歳になりました/

みなさま覚えているでしょうか! 昨年 8月 4日に旧館を含む新江ノ島水族館の長い歴史の中で初めて繁殖に成功したアカウミガメの赤ちゃんのことを。
その赤ちゃんがなんとか無事に 1歳を迎えることができました!
途中、体調不良になったこともありましたが、今では水槽が狭くなるほどに大きく成長しています。
生まれた時はこんな感じ。

今はこんな!

めちゃくちゃウミガメですね!!!
体重は 20gから 3㎏になりました。にゃんこくらいですね。重い。
裏っかわも真っ黒だったのにいつの間にか白く、ウミガメらしくなりました。

すごいですね…!

現在は成長に必要な日光を十分に当てるため、日中は 2頭ともアカウミガメのプールに移動して日光浴をしています。黒いネットは猛禽類避けです。

海にかえって行った他の兄弟たちも無事に育っていればこれくらいの大きさなんだなぁと思うと感慨深いです。
アカウミガメは絶滅が危惧されている動物です。人間の活動により絶滅に向かいつつあるアカウミガメですが、“えのすい”生まれのDNAが少しでも個体数回復に繋がってくれたら嬉しいです。

ちなみに性格も差が出てきまして、通称 No.7はがつがつ大食らいですが、No.9はわがままがすごい。好みの味じゃないとすぐぺって吐き出しちゃうのでいかに好き嫌いなく食べさせるかの攻防戦を日々繰り広げています。

話は変わって。
みなさん、ごみのポイ捨てってしたことありますか?
恐らくほとんどの方がしたことないかと思います。それは“えのすい”にご来場されているお客さまも同じく。
ですが、、、こちらをご覧ください。↓

これはウミガメプールの掃除をしていた 30分間で回収したものです。
そして、こちらが閉館時に回収したもの。↓

フォークの袋やガチャガチャのカプセル、レシート、紙ナプキン、パンの袋、飴の袋など、内容はさまざまですがいろいろなものが集まってきます。
悲しいかな、これは“えのすい”のウミガメたちがいる「ウミガメの浜辺」の日常です。
意図的に捨てられたものはきっとゼロだと思います。
でも、恐らくみなさん一度は経験がある「あっ、飛んでっちゃた!」「あれ、いつのまにかポケットに入れてたものが消えてる」という出来事。きっと全てこれで風に飛ばされ集まってきたのでしょう。もちろんわたしも経験はあります。そのときは「あーあ」、で終わるんですよね。
でも、視点を変えるとその「あっ、飛んでっちゃった!」で傷つく生き物がいるんだなと、ウミガメの担当になってからより強く感じるようになりました。

残念ながら、プール内に落ちてしまったこれらのゴミはウミガメたちが食べてしまうことがあります。たまに間一髪で回収できるときもありますが、ウミガメが食べちゃいそう!と無線で呼ばれた時には時すでに遅し、ということがほとんどです。
数年前には動物園で飼育されていたワニのお腹から大量の硬貨が見つかったというニュースもありました。水辺の生き物にとっては水の中にあるものは食べ物だと思って食べちゃいますよね…

“えのすい”内だけでこれなので、世界規模で考えるとどうなっているのでしょう。特に夏の時期は落とし物が多そうですよね。浜辺を歩いている時、いかにも流されそうなところにサンダルを置いて、流されちゃった!と笑っている人たちを見ると悲しくなります。

先日、太平洋ゴミベルトにプランクトンなどの生態系ができあがっているというニュースがありましたね。そこには世界中のゴミが何十トンと集まっているそうです。その半分はきっと「あっ、飛んでっちゃた!」のゴミだったりして、とも思ったり。

この日誌を読んでくださった方だけでも、「あっ、飛んでっちゃった!」の一瞬で、自分も想像していなかった場所で思いもよらない生き物が困っているかもしれないということに気づいてくださればいいなぁと思います。私も気を付けます。
そして、“えのすい”のウミガメたちが事故なく無事に成長できるよう、ご来場の際は「あっ」がないように過ごしていただければ幸いです。

ウミガメの浜辺

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