2023年10月02日
トリーター:石川

いたずらもの

水族館の水槽の防水に使われるシリコン素材の接着剤があります。
おうちの水槽から超大型水槽まで大きさは違えども水槽には欠かせない代物です。

しかし、この多少弾力のある接着剤はペンギンたちに限らず、水槽で飼育している多くの生き物たちにも大変魅力的かつ危険なものにもなってしまう場合があります。

水槽の中でこの適度に柔らかい物を歯や爪でガリガリ剥がすのは、とっても夢中になれるいたずらのようなのです。

しかし、これをしているうちに、誤って食べてしまったり、取り合いをしているうちに、飲み込んでしまったりすることがあり、場合によっては死に至ってしまうこともある危険ないたずらでもあります。

ペンギンは飲み込んだものを吐き出せるので、猫が毛玉を飲み込んだときのように、ときどき消化できないもの(魚の目の水晶体とか、羽づくろいの際に誤って飲み込んでしまった羽など)を吐き出します。ワシ・タカ・フクロウのような猛禽類(もうきんるい)では、ペレットと呼ばれる消化できない羽や骨をまとめて吐き出す習性がありますが、ペンギンでは聞かないものの、よく観察してみると普通におこなわれているようなのです。

最近、ペンギンプールでシリコン素材の破片を見つけることが多く、まとめて吐き出されていたりすることもあり、これではペンギンへの健康被害にもつながってしまいます。そこで、誰が、どこを、どんなふうにいたずらしているのか観察してみると、若き「イト」、そして「ソラ」、「ナイス」、「ユキ」、「テン」などが、水槽の縁で水中をホバリングしながら何やらツンツンしているようすが確認されました。

一旦このいたずらが発生してしまうと、その要因を取り除かない限り、毎日のようにいたずらをしてしまいます。
このためペンギンが触れられる部分は、すべて触れられないように加工しました。

生き物たちを飼育するときはその生態をよく調べて、そういった生き物たちが誤っていたずらをしても安全な環境を作り上げていくことが必要です。併せて多彩な好奇心を安全に満たしてあげることも重要なのです。

何か夢中になれるおもちゃも見つけてあげなきゃ・・・ですね。

フンボルトペンギン「イト」フンボルトペンギン「イト」

ペンギン・アザラシ

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