2023年10月19日
トリーター:渡部

モクギョ

私たちは、日頃より地元の漁師さんに大変お世話になっており、珍しい魚が獲れると教えてくれます。先日、ある漁師さんから「モクギョがとれたよ!」と連絡がありました。
「モクギョ」と聞き想像するのは、お坊さんがお経を読むときに使う木魚です。
その場にいた数名のトリーターと「木魚」と名の付く魚を調べてみました。すると、ミシマオコゼという魚であることが分かりました。

ミシマオコゼミシマオコゼ

確かに、丸っぽいフォルムが木魚に似ているような気がします。
翌朝、漁師さんに木魚(ミシマオコゼ)を受け取りに行きました。
漁港に着くと、漁師さんは嬉しそうに「モクギョは珍しいよ~!」といいました。
しかし、そこにいたのはミシマオコゼとは違う魚でした!オオモンカエルアンコウです!

オオモンカエルアンコウオオモンカエルアンコウ

漁師さんが「木魚に似てるからモクギョって呼ばれているんだよ!」と教えてくれました。ミシマオコゼだけでなく、オオモンカエルアンコウも同じ理由なのかと納得していると、漁師さんに、「冗談だよ!!」とすぐに訂正されました。どうやら違うようです。
これは、しっかり調べないといけませんね(笑)。

ではなぜオオモンカエルアンコウは「モクギョ」とよばれているのでしょうか。
いくつかの文献を調べてみたところ、モクギョはカエルアンコウの鎌倉の地方名ということが分かりました。カエルアンコウの仲間であるハナオコゼは、流れ藻にくっついていることがあります。このことからカエルアンコウの仲間は「藻屑魚(モクギョ)」と呼ばれているようです。しかし、文献には漢字表記はなかったので、はっきりしたことは分かりませんでした。古くからの呼び名は由来が分からないこともあります。

調べていく中でカエルアンコウは、他にもアゴ、アンコウ、ウオツリボウズ、モフグなど地域によってさまざまな名前を持つことが分かりました。混乱してしまいそうですが、たくさんの名前があるということは、それぞれの地域で大事にされている証です。

魚の名前を通して、日本では、多くの人々が古くから魚に親しみを持っていたということを実感しました。また面白い魚の名前に触れる機会があったらみなさんにご紹介します!

RSS