2023年11月15日
トリーター:八巻

未来の海洋環境を保全する

みなさんこんにちは! 八巻です!
環境保全というと、みなさんはどのような活動をイメージされるでしょうか。
例えば私たちは、えのすいecoデーで海岸のごみを拾ったり、江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクト(EFP)と協力し、海底のごみを拾ったり、藻場の保全をおこなったり、という活動をしています。

江の島の海底から拾ったごみの展示もおこなっている江の島の海底から拾ったごみの展示もおこなっている

しかし、一歩引いて考えてみるとごみを拾うという活動は、そもそもごみが落ちていなければおこなわなくてもよい活動です。海がごみだらけで、ごみが及ぼす悪影響を知っている人は、ごみを適切に処分するようになるはずです。藻場の保全にしても、藻場が漁業や私たち人間に及ぼす影響を知っていれば、おのずと守らなくてはいけないという思考にたどり着くはずです。
ところが、もしごみが及ぼす悪影響や藻場の機能について知らなかったら、どうでしょうか?
ごみを拾おうともしないし、藻場がなくなりかけていることも、藻場の存在にさえも興味を持つことはないし、知ることもないでしょう。
より多くの方に、ほかでもない私たち人間の活動を持続的に続けるために、自然環境のことに興味を持ってもらう、例えば頭の方端にでも「藻場」という言葉が入っている、そのような人を一人でも増やすことが、環境保全につながるものと信じています。

そこで、未来を担う子どもたちに海洋環境に関する知識や興味を少しでも持ってもらう、知ってもらうことこそ、まさに「未来の海洋環境を保全する」活動であると思います。私たちはEFPがおこなう、「江の島の海と漁師の仕事について学ぶ」という内容の体験学習に講師として参加させていただき、その一助としています。
EFPの体験学習講座には、主に小学 5年生が学校単位で訪れています。このように、参加申し込み型ではなく、学年全員が参加する行事で海洋環境の学習ができるという環境はとても大切です。
参加申し込み型の講座は、やはり最初から自然や環境に興味がある方が申し込みをおこないます。水族館を訪れる方も同様です。他方、学校行事として行う活動に、生徒たちの興味の有無は関係なく、同じ学校の同じ学年の生徒全員が分け隔てなく体験することになり、EFPの体験学習に訪れた生徒たちは全員が「藻場」という言葉を少なくとも1回は聞いたことがある大人として成長していくのです。

EFPの体験学習に訪れた生徒たちは主に、私たちの担当する「1、藻場の講義」と顕微鏡を使った遊走子の観察、タッチプールのほか、「2、漁師のお仕事解説」、「3、定置網を見に行くクルージング」の 3つのメニューを体験します。その他、実際に江の島の海底で拾った海底ごみの展示もおこなっています。

タッチプール/藻場の講義タッチプール/藻場の講義魚の水揚げの実演/漁師のお仕事魚の水揚げの実演/漁師のお仕事選別機の実演/定置網見学クルージング選別機の実演/定置網見学クルージング

お恥ずかしながら、私も漁師のお仕事は飼育員になって初めてちゃんと知りましたし、定置網も実物を見たのはやはり飼育員をするようになってからです。現場を見ることのインパクトは大きく、きっと子どもたちも船に乗って定置網を見た、という体験は大人になっても忘れないはずです。同様に「藻場」という言葉を聞いて何か海藻の話を聞いたという体験は大人になっても残ることでしょう。

このように「未来の海洋環境を保全する」という視点で小学生向けの体験学習をおこなうことは、その子どもたちが将来活躍する未来へ持続可能な環境や資源を残すための、地道ではあるものの堅実な投資になると信じています。
私たちはこれからもEFPと協力し、「未来の海洋環境を保全する」活動を続けていきます。

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