2023年11月23日
トリーター:黒川

棘皮動物に夢中 11月のテーマ水槽 part 3

みなさんこんにちは!
前回前々回に引き続きテーマ水槽の棘皮動物たちのお話です。

前回はレイアウトの擬岩を作り、無事に展示更新前日に水槽が完成したところまでお話ししました。
生物も入って一安心、、、、と水槽を眺めていたのもつかの間。

水槽の水が!みるみる白く濁っていきます!!

これはどういうことかとびっくりして立ちすくんでいると、バックヤードの水槽と展示水槽の水温の差が刺激になり、ニッポンウミシダが放精・放卵したんだよ、と園山トリーターが教えてくれました。
確かにウミシダたちを見ると、白いものをふわふわと出している個体がいます。

うまく写真は撮れませんでしたが、よく見ると小さなつぶつぶ卵も漂っています。

ウミシダの放精放卵!初めて見た!すごっ!!という気持ちと、これから海水を作って換水しなきゃ、まだまだ帰れないな、、、という気持ちと、きっと私は複雑な表情をしていたことでしょう。
またしても立ちすくんでいる私に、園山トリーターが「ウミシダの飼育繁殖するんでしょ!採水しなきゃ!!」と一喝してくれました。

そうだった!
急いでシャーレを取りに行き、スポイトで卵を採っていきます。

翌日、この卵を見てみると、、、

じわじわ動いています。発生が進んでいたようです!

そしてさらに1週間後に見てみると、

なんだか折れ曲がったお花のようになっていました。
ここから柄の部分が延びるのかな、、、と少しわくわくしながらそのようすを観察していましたが、ウミシダで名高いとある方に見ていただいたところ、これはもうだめになっているよ~と教えていただきました。

ウミシダ類は、自然に放たれた卵以外では受精は不可能なため、受精させるには自然の放卵日を待つしかないということでした。
今回は水温の変化で放精したような感じで、放精放卵の量も自然の放精放卵と比べて全然少ないです。

今回は残念でしたが、ウミシダ類の繁殖につながる貴重なお話をたくさん聞き、またそれに関する論文もたーーーーくさんいただいたので、来年は今年よりも繁殖に近づけるよう頑張りたいと思います!

そんな裏話があったテーマ水槽、11月30日までですので、見にきてくださいね!

関連日誌
2023年10月31日 棘皮動物に夢中 11月のテーマ水槽
2023年11月11日 棘皮動物に夢中 11月のテーマ水槽 part 2

テーマ水槽

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