2023年11月29日
トリーター:笠川

地中海

リゾストマ・パルモリゾストマ・パルモ

コティロリーザ・ツベルクラータコティロリーザ・ツベルクラータ

2021年に初めてリゾストマ・パルモを展示し、その年、地中海に生息するクラゲの混泳展示として、リゾストマ・パルモとコティロリーザ・ツベルクラータの2種を展示しました。
本当はこのとき、もう一種、ともに紹介したかったクラゲがいたのですが、当館にはそのクラゲのポリプがありませんでした。そのクラゲというのが、先日、11月23日より展示を開始した、リゾストマ・ルテウム です。

まだまだ成長段階で、色はきれいな琥珀色をしています。成長すると、赤みを帯びた口腕付属器がとても長く伸びます。ただ、初めて育てているので、本当にどのように成長し変化していくのかはわかりません。
現在、傘の直径が約 2~3cmの個体が2個体います。短期間の展示になってしまうのか、それとも、みなさんとともに成長を見守れるのかは、なんとも言えません。不安と楽しみが半々ですが、楽しみのほうが少し大きいです。

つい、先日、スペインのバレンシアにある、オセアノグラフィック水族館のクラゲ担当のブルーノさんが当館に研修にきていました。
ブルーノさんとの会話は、英語です。クラゲチームのなかには、英語が得意なスタッフもいるのですが、私はあまり英語が得意ではありません。それでも、少しでもたくさんコミュニケーションをとろうと、ジェスチャーや自分で絵を描いて説明してみたりと、自分なりに四苦八苦しながら交流をしました。

私の説明を優しいまなざしで聞いてくれているブルーノさん私の説明を優しいまなざしで聞いてくれているブルーノさん

うまく説明したり、話せなかったことも多々ありましたが、伝えたい気持ちと受け取りたい気持ちが合わされば、たとえ流暢な英語が話せなくても伝わるものだと感じました。
あと、同じ飼育員ということで通じ合える部分が大きかったと思います。ジェスチャークイズや連想ゲームみたいな会話ばかりだったので、ブルーノさんは大変だったかもしれませんが、研修の最後のほうは、何もしなくてもいろいろと察してくれていました。

今回、本当に良い交流ができました。オセアノグラフィック水族館では、どんな飼育をしているのかや、地中海、近くのラグーンではどんなクラゲが見られるのかなど、とても勉強になりました。
私は地中海には行ったことがありません。地中海に生息するクラゲを飼育していますが、そのクラゲの野生の姿を見たことがありません。今回、ブルーノさんが撮影したクラゲの写真を見せてもらい、野生のコティロリーザを見て、一緒にいたトリーターとともに、Oh! Fried egg! と思わず言ってしまいました。ブルーノさんから解説に使っていいよと写真をいただけたので、早速みなさんにもお披露目したいと思います。

ブルーノさんが撮影した野生のコティロリーザ・ツベルクラータ  まさに、目玉焼きクラゲ!ブルーノさんが撮影した野生のコティロリーザ・ツベルクラータ  まさに、目玉焼きクラゲ!

今まで、解説で、野生個体と繁殖個体の見た目の違いを話していましたが、野生個体の写真を持っていませんでした。これからは併せて紹介していけます。

また、私の地中海への夢“地中海ドリーム”が広がっています。まずは、リゾストマ・ルテウムを少しでも成長させ、さらにたくさんのクラゲが育てられればと思っています。そして、いつか3種が出会うことがあれば。まだまだ3種類とも安定飼育までいけたとはいえません。挑戦の日々は続きます。
いつか実際に地中海へ行って、自分の目でいろいろと見てみたいです。

江の島の海へも採集に行きました。江の島の海へも採集に行きました。クラゲチームとブルーノさん  お互いにとても良い刺激になった1週間でした。クラゲチームとブルーノさん  お互いにとても良い刺激になった1週間でした。

クラゲサイエンス

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