現在クラゲサイエンスで展示している「ツヅミクラゲ」の飼育日数が1か月を越えました(きょうで 40日)!
実は“えのすい”では今までツヅミクラゲをこんなに長く飼えたことはなく、いつも数日で調子を崩してしまっていました…。ようやく飼育のコツを掴めたのか、まだ元気に泳ぎ回ってくれています。ぜひみなさまに見ていただきたい種ですので、ご紹介しますね。
和名:ツヅミクラゲ
学名:Pseudaegina pentanema
分類:ヒドロ虫綱 剛クラゲ目 Pseudaeginida(科)
大きさは 1㎝ほどで、普段数㎜のクラゲを見ている私たち的には「それなりに大きいクラゲ」です。外洋性の種で、普段の江の島クラゲ採集では年間を通してもめったに見られません。他の水族館で展示されることも少なく、かなりマニアックなクラゲだと思います。ただ、日本でそこまで珍しいかと言われるとそうでもなく、いるところにはいるクラゲです。ちなみに今回の個体は伊豆で採集しました。クラゲの中では変わり者で、触手は基本5本です。
このツヅミクラゲの飼育において、今回で何となく掴んだコツはズバリ「餌」です。ツヅミクラゲの食性についての情報は少なく、図鑑には「特にシダレザクラクラゲを好んで捕食する」と書かれております。つまり、クラゲを食べるクラゲのようです。よりによってシダレザクラクラゲかあ…。
カツオノエボシなどと同じ、管クラゲ目というグループに属する種です。こちらも同じく外洋性で、そんなに簡単に採れるクラゲではありません。たまーに採れた時は、当館でも展示をしています。
これまでツヅミクラゲは手に入るものの、都合よく同時にシダレザクラクラゲが採集できず、他のクラゲたちにあげている餌(アルテミアとか牡蠣とか)を試してみたりしていたのですが、上手くいきませんでした。
…しかし、この前ツヅミクラゲを採集した時に、運良く形の崩れてしまったシダレザクラクラゲも採集できました! これは試してみるしかありません。ということで、あげてみました。その時のようすがこちら。
アルテミアなどには全く反応しなかったのに…! まさかこんな良い反応が見られるとは思いませんでした。
さて、シダレザクラクラゲを好んで食べるのはよく分かったのですが、これだけではシダレザクラクラゲが尽きてしまった時に困ってしまいます。他にも何か食べるのでしょうか。
ということで、いろいろ試してみました!
すると、どうやら同じ管クラゲ目に属するクラゲであれば、ある程度の範囲で食べてくれることが分かりました。
こちらはハコクラゲモドキというクラゲを細かく( 2㎜くらい)切ってあげてみたようす。しっかり触手でキャッチして、胃の中に取り込んでくれました。
シダレザクラクラゲにこだわらなければ管クラゲの仲間はこの時期比較的手に入りやすいので、「餌となる管クラゲの入手」が本種を飼育する上での一つのポイントになりそうですね。
クラゲの長期飼育やその先にある繁殖のためには、餌の他にも「水温」や「塩分」、「水流の強さ」などなどいろいろな飼育条件を適切に保たねばなりません。ツヅミクラゲに関しては、今回ようやく「餌」の情報がなんとなくわかったところなので、これをヒントに今後も情報を積み重ねていこうと思います。
この先もなるべく長く展示できるように頑張りますので、ぜひご覧ください!