みなさま はじめまして、新人トリーターの松田です。
4月に獣医師として入社して医療チームの一員となり、もうすぐ2か月が過ぎようとしています。光陰矢の如し。あっという間です。
さて、私の初めてのトリーター日誌では、トレーニングについて書きたいと思います。
ありきたりでしょうか? いえいえ、今回はイルカやアシカのトレーニングについてではありません。「新人獣医師」のトレーニングについてです!!!
私たち獣医師は大学で6年間勉強するのですが、授業では水族館にいるような動物のことはほとんど学びません。イルカやアシカを相手にした検査も全くやったことがありません。ですので、現在の私は獣医師としては全く役に立たない状態です。悲しいですね。
そんな現状を打破すべく、私ともう1人の新人獣医師は日々トレーニングに励んでおります。
特に最近力を入れてトレーニングしているのは、イルカの「採血」です。
血液検査は、生き物の健康管理の中でも重要なもので、さまざまなことを知ることができます。
人間であれば、お医者さんにいわれる通りに腕を出して、こっちが我慢さえすれば採血は終わります。ですが、言葉でそれを理解してもらうことが難しい生き物たちには、採血がどういうものなのかを理解してもらうために、段階を踏んでトレーニングをしていきます。
そして、ここからが本題。
「すでに採血に慣れているイルカ、採血するのが初めての新人獣医師、トレーニングされるのはどっちか」
答えは明白ですね。新人獣医師です。
ということで、私は今、「先輩獣医師」「先輩トリーター」、そして私よりもえのすい歴がはるかに長い「先輩イルカ」に採血のトレーニングを手伝っていただいています。ちなみに主に私のトレーニングに付き合ってもらっているイルカは、「サワ」さんと「クロス」先輩です(心の中でこう呼んでいます)。
トレーニングの最初の段階として、まずは先輩たちが撮り溜めておいてくれた過去の採血の動画を見て、本番の流れを掴みます。
その次は、これを使って練習します。
発砲スチロールです。
これが意外と優秀で、何度も使えて、針を刺す深さや角度の確認もしやすいのです。
これを相手にイメージトレーニングを繰り返したら、実際にイルカを相手にした練習にステップアップ。トリーターとイルカに採血姿勢をとってもらい、針先を潰した採血道具で一連の流れを練習します。
やはりイルカが目の前にいるとイメージとのずれが生じてくるので、それを修正するために発砲スチロールで復習をします。
こんなトレーニングを予定日に向けて繰り返していき、定期検査当日、本物のイルカに本物の針を刺して採血をすることになるのです。
実はこの日誌が投稿される前日に本番の採血が予定されているのですが、果たして成功したのか…!? 乞うご期待です。
筆がノッてしまい、思ったよりも長くなってしまいました。もし“えのすい”で、先輩の後ろをちょろちょろしている私たち新人を見ましたら、心の中ででも応援していただけるとうれしいです。
それでは、ここで失礼します。