2024年08月19日
トリーター:山本

カツオノエボシの特別展示

夏の湘南名物「カツオノエボシ」。“えのすい”では本種の飼育にとても力を入れており、毎年この時期になると長期飼育に挑戦しています。試行錯誤を重ね、昨年はこれまでで最長の70日間飼育を続けることができました。とはいえ、常に2か月以上飼育できるわけでは無く、採集してきた状態によっては数日で溶けてしまうほど飼育が難しい生き物です。今年も何かと話題になっているようですが、当館でも“えのすい”のくらげ展開催にともない、カツオノエボシの特別展示を行っております。

これまで「(ほぼ)毎日採集」の水槽を置いていた場所に、カツオノエボシ専用の水槽を設置しました。

この専用水槽は二重構造になっており、外側で濾過(+水温調整)した海水を、小型のポンプでカツオノエボシがいる内側の水槽に緩やかに入れることによって、常に換水ができる構造になっています。私たちが世話をできない夜中も換水ができる事が大きな利点…!となるはずです。
まだまだこだわりたいポイントはたくさんあるのですが、これまでの飼育方法より一歩進んだ水槽になったんじゃないかなと思っています。上のモニターではこれまで撮り溜めたカツオノエボシの特別映像を流しており、こちらも必見です。

ある日開館後にカツオノエボシにえさ(生シラス)をあげていると、「これを見に来たんです!!」と熱血なカツオノエボシファンのかたが声をかけてくださいました。その後も本種を目的に来館された方が結構いらっしゃっていたようで、私はとてもとても嬉しい気持ちになりました。見に来てくださりありがとうございます。

くらげ展が始まってからちょうど一か月間、タイミングよくカツオノエボシを採集することができたため、生体展示を続けることができていたのですが、実はここ数日(8月13日~現在)は標本のみの展示となってしまっております。

やはり本種の飼育は難しく、今回のバージョンアップした水槽をもってしても、今年の最長は24日にとどまっております。ここ数日で生体展示を楽しみにご来館されたみなさま、本当にごめんなさい。現在は標本のみの展示ですが、けっこう立派な群体の標本をご用意いたしました。大きいので、構造もじっくり観察していただけるのではないかと思います。隣には当館のカツオノエボシ飼育のノウハウを紹介しておりますので、こちらも併せてご覧いただけると幸いです。一日でも早く生体展示が再開できるように私たちも採集と飼育を頑張ります!!

カツオノエボシが「危険な生き物」であることに間違いはありません。ただ私としては、一歩その先、生き物としての「面白さ」をみなさまにお伝えしていきたいと思っています。カツオノエボシはどういうクラゲの仲間なのか、体の構造はどうなっているのか、海ではどんな暮らしをしているのか。これを知ると、本種の見えかたがちょっと変わって、魅力的に見えてくる…かもしれません。一人でも多くカツオノエボシファンが増えるように、私も本種についての研究を続け、面白さを紹介していきます!
くらげ展にお越しの際はぜひ!カツオノエボシの特別展示に足をお運びください。

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