フンボルトペンギンに魚を与えれば、ふつうに頭から飲み込むというのが当たり前のように思いますが、“えのすい”には魚を食べるのが上手じゃないペンギンが2羽います。
「コハク」と「テン」です。
ふつう長めの魚を与えると、嘴(くちばし)と舌を使って左右に動かして食べやすい向き(本来は頭側から)を口元へ持っていって飲み込むのですが、この2羽の場合は「おきまり」のごとく、口元にひっかけて飲み込めなくなってしまうことがよくあるのです。
最も苦手? なのがサンマで、半分に切って与えているのですが、この尾部を与えると高確率で引っかかってしまうのです。
一度引っかかってしまうと、くわえなおさせてあげてもドツボにはまって、何度も同じ結果になってしまいます。
こちらも親切だと思って食べやすい向きにくわえなおさせてあげようと試みるのですが、餌をとられまいと強力な翼チョップを繰り出してきたり、取ろうとする手にかみついてみたりと、こちらの気持ちとは裏腹に激しい抵抗にあってしまうことが多いのです。
「じゃあ自分で何とかしてみれば」と食べるのを待っていると、その間 給餌するトリーターはぐちゃぐちゃになっていく魚の身や内臓を顔から体に浴びながら「お願いだから早く食べて~」と言いながら飛び散る魚を手でガードしながら耐えています。
これもある意味お決まりのパターンです(笑)
フンボルトペンギンの口の中ってギザギザの突起がいっぱいあります。
舌にも上あご部にもあります。
鳥の口腔内の形状がみんな同じかというと、種類によってさまざまです。
ペンギンは一様にどの種も同じ感じですが、何と似ているかというとウミガメの仲間の中で最大級のオサガメの口の中と似ています。
オサガメはクラゲを多く捕食しているといいます。これらを逃さないように、飲み込みやすいようにこの突起があるという話もありますが、本当のところはまだわかっていないようです。
近年ペンギン類もクラゲを捕食していることがわかってきたので、同じような理由があるのかもしれませんが、今回の上手に食べられるか否かとは関係ないようです。
「コハク」は今まででは一番長く親から餌をもらっていました。
一方「テン」はえのすい唯一の人工育雛個体です。
この辺りが上手じゃない理由かなって思っていたのですが、昨年生まれた「ユイ」は「コハク」の記録を抜いて一番長く親から魚をもらっていたのですが、今のところつっかえることなく上手に食べています。
もう「コハク」は 16年、「テン」は7年この状態ですので、突然何かのきっかけで学習して改善できるかもしれないと、いろいろやってはみましたが、現状改善されているようにはみえません。
水中で食べた方が引っかかりにくいようですが、引っかかると同じようになってしまうので、魚をうまくコントロールできることと水中で魚を食べることはまた別のようです。
みなさんも「コハク」や「テン」のごはんの時間に引っかかっているところを見たら、見守ってあげてくださいね。