2024年09月14日
トリーター:石川

シンカッパ

一瞬めちゃくちゃ期待した人がいたらかなりマニアックな50代より上の人です。
マニアックな方は「大巨獣ガッパ」かと思った方。
当社の初代社長が日活の元社長だからといって、よく読むと「カッパ」ですからね。
また、水族館だからって、かっぱの展示ではありませんのであしからず。
ちなみにかっぱは数々の伝説とともにさまざまな生物の見間違いという見解も多くあるようです。
私の勝手な妄想ですが、地域性と生態的なニュアンスでかっぱはカワウソなんじゃないかなって思っています。

さて9月4日から“えのすい”のカッパが新しくなりました。
さまざまな作業でときどきご覧になっているとは思いますが、ペンギン担当は着ていることが多いと思います。
トリーターたちの多くはみなさまの前でウェットスーツを着用しているんですが脱ぎ着が激しく、汚れが激しいペンギン飼育ではウェットスーツのジャージー生地が汚れやすくあまり適していないんです。

さてカッパが新しくなったからって何?と思う方も多いと思いますが、なんと・・・明確に覚えていないくらい昔なのですが、私が入社して3年ゴマフアザラシを担当し、その後ハナゴンドウの「ビーナ」やカマイルカの「クロス」を担当していた時期に今まで使っていたカッパに代わった記憶があります。ですから、なんと30年ぶりくらいなんです。
入社した頃のカッパは薄いもので、ゴマフアザラシと一緒に遊んでいるとあっという間に爪で引き裂かれてしまうような柔かいものでした。おろしたてのカッパをすぐに破られた時は先輩に叱られたものでした。
そんなふうに最初のカッパは長くもっても3か月くらいでダメになってしまっていたのですが、2代目のカッパ(今まで使用していたもの)は、爪で裂かれたり、噛みつかれて破れたことはほとんどなく、ゴムが伸びたり、裾が擦れてぼろぼろになるまで1年くらいは普通に使用できました。
当時は漁師さんがよく着用されていて耐久性と防水性に優れているのは実証済みだったので長年愛用してきました。

さて今回はなんとえのすいオリジナルのロゴまで入った新型です。
感慨もひとしおで、よくアメリカなどの巨大水族館がオリジナルのデザイン使用のカッパやウェットスーツ、作業着を着ていて、「かっこいいなあ」と羨んでいた時期が思い起こされます。
ただ、私たちの仕事は生物ありき。生物たちは、実は新しい物へは警戒心も感じたりします。日ごろからさまざまな刺激でちょっとやそっとじゃ動じなくなってくれている彼らですが、ペンギンって1対1で飼育をしているわけじゃなくて、群れで飼育をしています。トレーニングは1対1でできることはおこないますが群れで馴化してもらうことも重要なんです。例えば今回のカッパの変更ですが、27羽中25羽が大丈夫で、何も気にしない状態だったとしても、うち2羽が警戒するだけで、「なんだかわからないけどとりあえず警戒しておくか」っていう行動が広がってしまいます。群れの心理的危機回避術ですね。
実は変更当日しれーっと新しいカッパで作業してそのまま給餌に入ったんですが、フンボルトペンギンの「イト」と「ブラウン」がいつもより腰が引けていました。
この状態からの持って行き方にもいろいろありますが、さほどひどい警戒心ではない場合は、信頼できるトリーターが平常心でいるだけで大丈夫になるんです。
今回はこの方法できょうまで特に大きな警戒心を抱かれずに新カッパに慣れてきてくれています。
ただ、ときどき全く見えてないタイプっていうのもいるんです。忘れたころに突然「えっー何着てんのー」ってなるんです。こちらとしては、「えーっ今さら」って感じです。
今のところそういった感じのペンギンはいなさそうですが、現在換羽の真っ最中なので、それどころじゃないペンギンもいるかもしれません。今しばらくはようすを見てあげながら、しれーっと馴化してくれることを願っています。
みなさんもぜひ、新カッパにご感想をお寄せくださいね。

さて最初に出てきた「大巨獣ガッパ」が気になった方のために少々。
当館の初代社長が経営していた日活では1967年(昭和42年)怪獣映画「大巨獣ガッパ」が公開されました。当時東宝の「ゴジラ」大映の「ガメラ」に負けじと制作されたようですが、風貌は烏天狗、南海の孤島にひっそり暮らしていたガッパの子どもを日本へ連れてきてしまったことで親ガッパが怒って日本まで取り返しに来る怪獣映画ですが、生物の親子の絆が色濃く印象に残る作品でした。・・・レアですかね。
そういえばうちの実家にはどっかに「ガッパ」のソノシートもあったような。

新江ノ島水族館で「シンガッパ」公開展示いいですねえ。

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