みなさんはペンギンが泳ぐのは当たり前だ、と思っていますよね。
ほとんどの餌を海から獲るペンギンでは、泳ぐことは生きていくことでもありますね。
ちょっと目線を変えてみましょう。
ペンギンの運動として重要なことは何でしょうか?
実はこれも泳ぐことが直結しているようなのです。
この数十年、ペンギンのお散歩というイベントは多くの水族館・動物園で実施されています。
ペンギンを飼育する上で、よくある病気として趾瘤症(しりゅうしょう)というのがあります。
足の裏や縁に血行不良からくる角質化がおこって、それが肥大して中で壊死したり、ひどくなると敗血症などで命を落とすこともあります。
この病気を予防するのには歩かせて運動させるのが良いのでは?ということで多くの施設で行われるようになっているのですが、近年あまり趾瘤症には効果がないという話もあるようです。
当館のフンボルトペンギン「チョキ」は、換羽(かんう)の時期や産卵時期になると、活発に行動しなくなり、趾瘤症になりかける傾向があります。
以前は歩かせた方が良いのではという従来の考えで歩かせることを意識していましたが、改善はみられませんでした。このため運動量を上げてみる試みとして遊泳時間を伸ばしたところ改善がみられました。この経験から歩くことより泳がせることのほうが重要なのではないかと思っているのです。
昨年チリの野生のフンボルトペンギンを見に行った当館のスタッフから聞いた話ですが、現地の水族館では野生のフンボルトペンギンを保護しているそうなのですが、施設内で歩かせると趾瘤症になってしまうという話を聞きました。
ペンギンたちは太くて丈夫な足を持っていますが、この生き物の代謝の源は泳ぐことなのかもしれません。
ただ一部極地ペンギンたちを雪の上で歩かせることで同じように趾瘤症が治ったという話を聞いたことがあります。
ここで重要なのは極地ペンギンということと、雪の上ということのようです。
極地に棲むペンギンたちは雪や氷の上、もしくは氷点下にある岩や石の上で生活しています。接している足の裏は冷たくなってしまいますが、末端で冷やされた血液は静脈を通って動脈を流れる暖かい血液に温められ体の中心へ戻っていきます。こういった代謝が本来極地でおこなわれている状態なので、寒くても逆に代謝が良くなるようにできている生き物のようです。
また、猛禽類のハヤブサを飼育している方に趾瘤症になりやすいという話を聞いたことがあります。
実は飛ぶ鳥たちも趾瘤症になるのです。ハヤブサを歩かせるなんてそもそもおかしな話です。飛ぶ鳥は飛んでこそ本来の代謝がおこなわれるようにできているのかもしれません。
きょうは「体育の日」改め「スポーツの日」です。
私たちも自分たちの代謝に合った運動をするとよい効果が見えてくるのかな?なんて思いながらやや太り気味の自分に都合のいい運動を探しています。