2024年11月11日
トリーター:笠川

こっちのコト

今度はこっちについています。

つい先日まではガラス管に付着していたのですが、ガラス面に移動し始め、きょうはだいぶ上の方にいます。
9月 6日に水族館へやってきて、展示するまでの9日間のバックヤード飼育でガラス管の上で落ち着いてしまったので、展示もそのままの状態でスタートしました。
“えのすい”のくらげ展中も状態よく展示ができ、現在水族館にやってきて無事に 2か月が過ぎました。

ここにきての移動は何か意味があるのか。
居心地が悪くなってきたのか。(付着していたガラス管もヌメヌメしてきており嫌になったのか。)
または何か変化の前ぶれか。(卵や幼生を出す前なのか。)
少しでも長く展示が続けられるよう、またうまく幼生が得られれば、再度育成のチャンスもあるので、注意深く見ていきたいと思います。
水槽の縁で少し見えにくくなってしまっていますが、どうか、しゃがんでみたり、角度を変えてみたりしてご覧ください。

クラゲといったら・・・ぷかぷか浮遊しているもの、毒があるものなどと連想するかもしれませんが、コトクラゲは浮遊はせず、何かに付着しています。刺胞動物の仲間ではなく、有櫛動物の仲間であるため、毒はありません。有櫛動物の仲間の特徴でもある櫛板は、幼生の頃にはありますが、成長にともなってなくなってしまいます。初見でこれをクラゲだと思える人は少ないかと思います。
全然動かないかと思いきや、ウサギの耳のように見える部分の縁に餌をくっ付けてあげるとゆっくりと取り込んでいき、ウサギ耳の先端から触手も長く伸ばします。そして時折、今回のように大移動もします。うまく触手を使って移動することもあります。みなさんが想像するクラゲのイメージとはだいぶ違うかもしれません。

クラゲは本当に例外が多い生き物であり、不思議が多い生き物です。そこがきっと魅力のひとつで、沼にハマるところなのかなと思います。
また、見る人が見たいように見ることもできるので、例えば、コトクラゲもウサギ耳にも見えるし、Ⅴサインにも見えるし、11にも見えるかもしれません。
Ⅴサインで見ると、なんだか元気をもらえますよ!


[展示協力]
FullDepth / TBS
TBSテレビ「クレイジージャーニー」 撮影中に採集されました。
採集のようすは、「クレイジージャーニー」で近日放送予定。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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