2025年01月23日
トリーター:吉田

よくみること

みなさんは魚を観察したり、魚の名前を覚えたりするときに、どのようなところに注目しますか? 体の色、模様、鰭(ひれ)の形、全体のシルエット、、、 種によってさまざまな特徴があります。
先日、そんな魚の特徴にまつわる出来事があったので紹介させていただきます。

ある日バックヤードで作業をしていた時のことです。
「お客さまが相模湾大水槽の魚の絵を描いてくださり、その魚の名前が知りたいそうなので来てもらえますか?」と、別のスタッフから電話を受けました。
私一人では心配だったのですが、幸いにも興味津々の先輩トリーター2人が付いてきてくれ、お客さまの元に向かいました。

見せていただいた絵はスマートフォンのアプリで描かれた白黒の線画でした。しかし、ぱっと見で「これはぜったい○○だ!!!」と魚の名前が頭に浮かびました。
2人の先輩トリーターも同じことを思ったようで、見た瞬間「あぁー!!」と声が揃いました。

その絵の魚は、、、 丸っこい体に一部分が長く伸びた背鰭(せびれ)と臀鰭(しりびれ)、尾鰭(おびれ)は二股に分かれており、切れ込みは深い、さらに丸い吻先(ふんさき)につぶらな目をしたかわいらしい顔・・・・・・

これはきっと、マルコバンに違いない・・・!!!

マルコバンマルコバン

「マルコバンじゃないですか?」 とお客さまに伝えると、その場で画像を検索して「これです! この魚です!」 と言っていただけました。
相模湾大水槽で見てからずっと気になっていたようで、帰る前に出口に立っていたスタッフに声をかけてくださったそうです。
みなさんにその絵を見ていただくことができないのが残念ですが、とてもよく特徴を捉えた絵で、まさにマルコバンそのものでした。

実はこの出来事とそっくりなことを “えのすい” のショーでもおこなっています。
それが大水槽でおこなっているダイビングショー「フィンズ」。「フィンズ」の中ではお客さまに大水槽にいる魚の中から見たい魚のリクエストをいただき、リクエストの魚を水中カメラでアップにして映します。そのリクエストの仕方が、魚の名前ではなく絵を描いてトリーターに伝えるという方法なんです。
私はまだショーには出演していないのですが、電話を受けた時から先輩トリーターたちと「まさにフィンズだね」という話をしていました。

今回見せていただいた絵も「フィンズ」のリクエストも、魚をよく観察しなければ描くことができないですよね。
よく見ていると、今まで気付かなかった特徴に気付けたり、同じグループ同士の魚がなんとなくわかるようになったりします。
そうすると魚の見方や水槽の見え方が少しずつ変わってくるのではないでしょうか。

私自身、大学や前職で関わってきた生き物が哺乳類ばかりだったこともあり、恥ずかしい話なのですが、入社したての頃は「大水槽の魚はみんな同じように見えるし、名前もちんぷんかんぷん」状態でした。
しかし魚の名前を覚えなければ飼育もできないので、ひたすら図鑑で調べて写真を見ながら絵を描くということをしていました。よく見て描くことで自然と魚の名前を覚えることができ、魚の水槽を見ることが今までの何倍も楽しくなりました。

みなさんも来場された際には、じっくり生き物を観察してみてくださいね。
普段と違うところに注目するだけでも、きっと見える世界が変わるはずです!

フィンズ

RSS