みなさん、こんにちは。
新人トリーターの村井です。
先週、初めての底曳網船に乗船をしてきました!
先輩方から、寒い! 酔う! 寒い! と聞いていたので寒さ対策は万全で挑み、今回の底曳網船に乗船しました。
目的の生物は深海のアイドル“メンダコ”をはじめとする深海生物です。出港時間が早いので前日の夜には現地に行き、近くの民宿に泊まります。前日までとても風が強く港の中でも波が高く、出港できるのかドキドキしていましたが、朝起きてみると一転!風もなく、波もないとても穏やかな海になっていました!(ラッキーです!)
トラックに積んできた荷物を船に積み込み、朝日が昇る前に出港です!
船の上は足場が悪く、しかも揺れていて危ないため新人の私はしばらくエンジンの排気煙突の横で待機です。
写真の白い場所で邪魔にならないように座っています。
先輩は生き物を入れる水を深海の水温に合わせて冷やしたり、生き物を入れる籠を準備しています。
いろいろと準備をしているうちに空が明るくなってきました!
それでは1回目の底曳きスタートです!
底曳網では網の片側の先端についているロープに目立つ浮きを付けて海に落とします。
その後、ロープと網を出しながら網がうまく広がるように扇形に船で移動し、最後に先ほど落とした浮きを回収して網を引きます。
とても時間がかかります。
そんな時は船の周りをうろちょろしている足が黄色の海鳥を観察しています。
幼鳥から成鳥に切り替わる時期なのか、頭は幼鳥、体は成鳥の羽になっているカモメの仲間がたくさんいました。
網を落とし始めてから1時間ほどで網が上がってきます。
網が上がって来てからが私たちの出番です!(私はまだ見学です)
今回の底曳網では、あらかじめ海水を張った桶の上で網を開けることで、中に入っている生き物がつぶれないようにしていただきました!
1回目、網を開けますが、メンダコの姿は見当たりません。
しかし、他の深海生物たちはたくさん入っているのでその中から傷が少なく、連れて帰れそうな生き物や珍しい生き物を手際よく選別し水槽に入れていきます。どんどん仕分けていると...
港についてからも気を抜けません。
船から水槽を下ろし、次はトラックでの移動に備えて生き物を梱包していきます。同時に海水を冷やします。深海の水温は生き物を持ち帰るために持って来た海水よりも冷たいので、氷を入れて水を冷やしていきます。小さな生き物はケースに、遊泳する生き物は大きめのタンクに移し替えつつ、どの生き物を何匹連れて帰るかをメモします。生物の移動時は、水温の変化や衝撃などのストレスをできるだけかけないように気を付けます。全ての梱包が終わると、すぐに水族館に帰ります。
夕方、水族館につくと待機していた先輩方の手も借りて、それぞれの生き物に合った水槽に搬入し、メンダコは次の日から展示できるように展示準備を行います。
てきぱき仕分けして、使ったものを洗って片付けてようやく終了です。
初めての乗船ということもあり、かなり大変でしたが、それ以上に実際にいろいろな生き物があがってくるようすを見られたり、ケアをしてみることができ、とても勉強になりました!
協力してくださった漁師さん、ありがとうございました!
今回採ってきたメンダコは1月17日から19日まで(20日以降はえのすいが休館日に入ってしまい、公開することができませんでした)の展示となってしまいましたが、今回の採集、飼育経験を活かして次のメンダコこそ長期飼育し、少しでも長くみなさんにお見せできるように頑張っていきます!
現在開催している「えのすいの深海展」では、今回採集できた生き物も含めて、いろんな深海生物を展示しています。深海生物といえばメンダコばかり注目されてしまいますが、他にも大きな耳と大きな目を持ち、座っている姿がかわいいダンゴイカの仲間や、白い模様と大きな目がかわいいミカワエビなど魅力的な生き物がたくさんいます。
ぜひえのすいに来てお気に入りの深海生物を見つけてみてくださいね。