2025年07月15日
トリーター:加登岡

小さな挑戦

いよいよ夏休みが始まろうとしております。 “えのすい” では夏に向け 7月 4日より、特別企画展「イルカとクジラ Coool Dolphin」が始まりました。 私も微力ながら協力させていただいております。 これについてはまた別の機会に。

さて、今バックヤードではある挑戦をしております。 それは「繁殖」です。
昨年からアマノガワテンジクダイやマンジュウイシモチ、ハマクマノミは少しずつ繁殖ができ、4月 11日から 6月 8日までの間に開催された「えのすい生まれの生き物展」では無事に展示をすることができました。 アマノガワテンジクダイについては七夕に合わせて常設展示にも出せています。

太平洋の水槽に展示した、えのすい生まれのアマノガワテンジクダイ太平洋の水槽に展示した、えのすい生まれのアマノガワテンジクダイ

他の種類もそれぞれ常設展示に出せるように準備中です。
また、この他の種類のテンジクダイの仲間も卵をくわえているので、担当者がそれぞれ試行錯誤しながら繁殖に挑戦中です。

私の挑戦はというと、オトヒメエビの繁殖に挑戦中です。 といっても卵を持っていた親がいたため、バックヤードで孵化させて育てています。 甲殻類の繁殖は自身初の挑戦です。
前に先輩の Sトリーターが別の種類で繁殖していたのを盗み見し、見よう見まねで実施しています。
オトヒメエビの卵は青色をしており、孵化直前になると透明になります。 孵化したオトヒメエビは数mmサイズの大きさです。 あまり繁殖の知見がないため、シオミズツボワムシとコペポーダを餌として与えます。 また、水中を漂えるように少し強めにエアレーションをして、ランダムな流れができるようにしました。 とは言っても強すぎると、泡にもまれてしまうため注意が必要です。

孵化当日孵化当日

餌を食べてくれているか不安ではありましたが、毎日水槽を確認していると、餌に紛れて稚エビが浮遊しているのが見られます。 とりあえずいるので餌を食べているのだろうと一安心です。
ただある時に浮遊している稚エビの数が極端に減りました。 まさか死んでしまったかと思い心配しましたが、光を当てると、びっくりした稚エビは水槽のそこでぴょんぴょん跳ねています。 この時点では弱っているのか、着底したのか分からず、静観していました。 ただ確実に大きくなっています。 孵化後 2週間で赤い色がはっきりとわかります。

孵化 2週間孵化 2週間

さらに日が経ち、孵化後 約 1か月が経過しました。 数週間ぶりに写真撮影するとこんな感じに。

孵化 1か月孵化 1か月

体がしっかりしてきたように感じます。 右下のスケールバーで比較しても、孵化当日から大きくなったこともわかります。 また赤い色もさらにはっきりしてきました。

オトヒメエビ(成体)オトヒメエビ(成体)

親と同じ形になるまでまだまだかかりそうですが、小さな挑戦が続きます。

太平洋

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