気持ちが穏やかな日もあれば、なんだかもやもや、せかせかする日もあります。特に朝は、忙しくて余裕がなく、ばたばたしている日が多いです。開館の前後の時間は、特にせわしないです。
生き物たちは、こうしてほしいああしてほしいと言葉で言ってきてはくれませんので、よく観察し、どうしてほしいのか、どうすればいいのかを考えます。表情があったり、行動がよく変化する生き物は読み取りやすいこともありますが、なかなか難しい生き物も多いです。
小さな変化をこちら側が見逃さないことがとても大切です。
クラゲの餌やり(給餌)は基本的に、小さなプランクトンを水槽内に適量まいてあげることがほとんどなのですが、クラゲの種類や餌の種類によっては、ひとつひとつ丁寧に直接口につけてあげたり、触手につけてあげたりすることもあります。
まさに現在、チョウクラゲの給餌は、毎朝、ひとつひとつにシラスをピンセットで口につけてあげています。これがちょっと大変です。スムーズにいく日といかない日の差がすごいです。生き物の状態もなくはないのですが、個人的にはこちらの気持ちや状況が作用しているようにしか思えません。忙しくせかせか余裕のない日こそ、うまくいかないのです。
チョウクラゲは、刺激されると羽ばたくようにぱたぱたと動いてしまいます。こうなると餌をあげるのが難しくなります。羽ばたく勢いでシラスを吹き飛ばしてしまうからです。そして、クラゲが複数いる場合、それが連動します。みんなぱたぱたと羽ばたき始めてしまいます。給餌関係なく見ているだけなら、みんなぱたぱた羽ばたいて、かわいいなとほのぼのする状況かもしれませんが、焦りながら給餌する側からすると穏やかではありません。わかりやすく言うと、小さな子どもたちにごはんをあげようとしたら、ぷいっとされて、駆け出し始めて、周りの子も一緒に、駆けっこが始まり、ごはんどころではない、カオスな状況のような風景を思い浮かべてください。しかも忙しい朝です。
チョウクラゲをびっくりさせず、羽ばたかせないように給餌するためには、絶妙なタイミングで、あまり他の部位に触れないように、口につけてあげることがポイントです。他に触れないようにクラゲの口に確実にシラスをつけることができれば成功です。または、落ちないように、袖(蝶の羽根のような部分)の隙間に忍ばせれば成功です。ただ、もうひとつ難関があります。チョウクラゲも含まれる有櫛動物のクラゲたちは、刺胞動物のクラゲと違い、毒針を持ちません。そのため、粘着を使って餌を捕らえます。そう、ピンセットに粘液がつき、せっかく口にシラスを持っていけたと思ったら、ピンセットからシラスが離れず、慌てて揺らしてしまうと、チョウクラゲを羽ばたかせてしまいます。さらに、チョウクラゲは非常に軟弱なため、ピンセットで傷つけないように、注意が必要です。みなさん、イライラしてはいけません。
毎朝、給餌に失敗すると、ああ自分余裕ないなと気が付き、ごめんよと深呼吸をします。大変ですが、朝のばたばたのリセットタイムになります。不思議にそれほど慎重にやらなくても、すんなり食べてくれたり、どんなに触っても羽ばたかないときもあります。ただ、少なからず、こちらの気持ちが影響することはあると思います。
きょうで 3月も終わりです。あすから新しいスタートを切る方も多いと思います。余裕をもって、心穏やかにいきたいものですね。気持ちが疲れたら、ぜひ、えのすいのクラゲを観にいらしてください。ちなみに、午前中に見ると、チョウクラゲの口(胃)にシラスがまるっと入っているのが見られるかもしれません。