テーマ水槽が開幕して4日が経ちます。
今回も7月下旬の採集の話、前回に続き、今度は海で泳ぐ昆虫です。
2種類紹介します。
1種類めは「ハイイロゲンゴロウ」。
全国的に数を減らしているゲンゴロウ類の中では、まだ都市部でも見られる中型種です。
江の島の中にある人工池の中で泳いでいるものを網ですくって採集しました。
水田などでもおなじみの本種ですが、隠れた特技として、高い塩分耐性が挙げられます。
旧江の島水族館のマリンランドのイルカプールでは、本種が泳いでいることがよくあったそうです。
イルカと一緒に泳ぐゲンゴロウです!数あるゲンゴロウ類の中でも、海水で泳げる種は本種とチャイロチビゲンゴロウくらいです(チャイロは今回採れませんでした)。
テーマ水槽左下でスイスイ泳いでいます。
もう 1種類は、ある著名な人物の名を与えられています。
「東郷平八郎」。明治時代の海軍将校であり、当時勃発した日清戦争と日露戦争では海軍の艦長、指揮官として名をはせた人物とのことです。
海水という、昆虫にとってこれ以上ない厳しい環境に適応し、繁栄しているところから献名されたのかも知れません。
たまたま日常作業とショーの間に1時間ばかり時間ができたので、自転車に小瓶と手網を載せて江の島の磯へ。いい具合に潮が引き、ところどころに潮だまりができています。
いそうな場所はリサーチ済みです。
さっと網ですくうと、採れました!すぐに水族館へUターンです。
その名は「トウゴウヤブカ」。
カですカ。
見た目もまるっきりカ。当然、血を吸います。
本種のすごさは卵を海水に産み、幼虫、サナギと海水中で泳ぎ、成虫もアメンボのように海水に浮かんで過ごせる点です。
本種の他にユスリカやガガンボの仲間の一部は海の環境に適応したものがありますが、研究が進んでおらず、世間でクローズアップされることもない仲間です(水生昆虫の図鑑を洗いざらい読んでも、ほとんど記してありません)。
「絶対に逃がさない」ようにメッシュケースに入れて展示していますので、虫眼鏡を使って「ちらっと」見てみてください。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。