2010年12月06日

ボストンIMATA国際会議(4)

  • 期間:2010年12月3日~12月9日
  • 場所:アメリカ マサチューセッツ州 ボストン
  • 目的:国際海洋動物トレーナー協会(IMATA)国際会議への出席
  • 担当:石川


さて本日、午前中は発表と 3つのワークグループに分かれての勉強会、そして午後からはニューイングランド水族館の見学です。

きょうの発表で興味をひいたのはサンディアゴの動物園の発表で、象の出産の話です。
今までの認識として、象の出産直後、母親象が興奮して生まれたばかりのまだ立てないあまり動けない状態の赤ちゃん象を、気を荒立てて蹴ってしまうことが観察されているそうです。
そのため出産直前は足枷をして、出産後すぐに赤ちゃん象を親から離してしまう方法がとられていたそうです。

しかし今回の発表は、その考えを否定して、そのまま通常の土や砂の放飼場など広く他の仲間の象がいるところで出産させる方法をとり、多くの成功例を挙げたという実証の出産ビデオを何例もあげて説明される内容でした。
そしてこの母親が子を足で蹴ったり押したりする行動は、野生の状態では他の肉食獣からの危険を避けるため、本能的におこなっていることであると話していました。

こういったことは、飼育下ではよくあることと認識しています。
もちろん中にはその状態で子どもが死亡してしまった例もあるのでしょう。
それが別の要因であったかもしれませんが、誤った認識は、野生生物の本能を無視してしまうことが多く、通常、生物と接触している中でも多くおこってしまっていると思います。

本来であれば野生行動を観察し、それをもとに飼育下の条件を整えてあげなければなりませんが、多くの生物は、今だにその生態のほとんどが未解明のままなのです。
今後の水族館動物園が生き物を飼育していくにあたり、野生の生態を合わせて観察、調査、記録していくことは重要です。

さて午後から見学に行ったニューイングランド水族館の感想ですが、まずペンギンの飼育に力を入れている水族館として事前から情報をいただいていたので、期待が高かったのは事実です。
回廊状に建てられた建物の 1階部の中心がペンギンエリアです。
中央の大水槽を軸にドーナッツ状のプールで、ところどころに擬岩があり、ケープペンギン、イワトビペンギン、コガタペンギンが飼育されています。
やや遅い時間についたので、最後の給餌時間を見ることができました。
プールはつながっているのですが、給餌場所は各種類ごとで擬岩を決めてあり、そこでそれぞれ与えていました。
イワトビペンギンとコガタペンギンはそれぞれ1人づつ、そしてケープペンギンは 2か所に分かれて、それぞれに記録する人と与える人の 2名体制で、計 6名であたっていました。
羽数が多くても、すべてハンドフィーディング(手から直接1羽1羽へ餌を与える)を実施していました。
そして給餌者とは別の係員が解説のアナウンスをし、かなり手厚い体制で取り組んでいました。
初日のミスティック水族館もそうですが、学生やボランティアの方も一緒に手厚い体制を整えているのは、アメリカの水族館、動物園の運営体制の多くに言えることのようです。
IMATAに代表されるように、トレーナーの育成が手厚いというのもレベルの高い理由なのでしょう。

きょうは閉館したニューイングランド水族館を貸し切っての会がおこなわれるのですが、ペンギンたちは我々の行動とは裏腹に、別に気にするようすもなく落ち着いて寝に入っていました。

夜のニューイングランド水族館夜のニューイングランド水族館

夜のボストン市内夜のボストン市内

ペンギン・アザラシ

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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