2014年04月11日

伊豆・小笠原弧 熱水域調査航海(1)4月11日 出航

  • 期間:2014年4月11日~2014年4月20日
  • 場所:伊豆・小笠原弧の熱水域
  • 目的:伊豆・小笠原弧 生物群集調査
  • 担当:根本


先日まで、杉村さんと冨永さんが相模湾の深海調査航海に参加し、シロウリガイやサツマハオリムシ属の一種、シンカイヒバリガイ類が採集できました。

今回の、東京から南に約 500kmにある熱水噴出域の調査域には、シチヨウシンカイヒバリガイという、パソコンのマウスくらい大きい二枚貝が生息しています。
この貝は栄養の獲得方法が変わっており、硫化水素を吸収し体内に棲まわせた細菌を利用し、エネルギーに変換させて生きていける能力をもっています。
硫化水素は熱水からドンドン供給されるので餌に困らないのでしょうかね、熱水の周辺には物凄い数がゴッチャリ固まって熱水噴出孔にくっついています。
この貝が今回の調査航海の調査対象生物の一つになります。


水族館はこの貝の船上飼育を担当し、研究者の方々によい状態で船上実験に使っていただけるように、良い状態をキープするという仕事をしています。
同時に、陸上に持ち帰り、長期飼育技術の開発を目的とした実験をおこなうための実験用生物の飼育もしてもいます。
飼育がうまくいけば、船上で限られた時間や物資の中でやらなくとも、いろいろな実験が陸上でもできるようになり、研究の幅ももっと広がることにつながっていきます。
「飼育技術をこれらの研究に役立てたい」
という大きな目的がありますが、それに伴い誰もできない事へ挑戦したいという野心もあります。
シロウリガイもそうですが、シチヨウシンカイヒバリガイもまだまだ水槽内でうまく飼えず、エラなどの組織が痩せたり変色したりしてしまっています。
見た目は元気でも、中身は消耗してしまっているようです。
どうにかいい方法を探し出していきたいと思っています。
今回はその実験のための採集です。同時にユノハナガニやオハラエビなど、比較的飼育しやすい生物の採取も狙っています。
こちらは繁殖をめざします。


本調査は、JAMSTECが東京都から特別採捕の許可を得て行っているものです

JAMSTEC(海洋研究開発機構)NT14-06「なつしま/ハイパードルフィン」による複数の海山カルデラ周辺における底生生物群集調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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