2015年08月02日

中部沖縄トラフ調査航海(7)7日目

  • 期間:2015年7月27日~2015年8月7日
  • 場所:中部沖縄トラフ
  • 目的:中部沖縄トラフ熱水活動域における熱水化学および化学合成(微)生物学調査
  • 担当:杉村
潜航前の夕日潜航前の夕日


本日で調査航海折り返しです。
きょうは、初日に調査に向かったサイトに再度調査に向かいます。
前回、ターゲットにしていたブラックスモーカーが探し当てられなかったので再度探しに行きます。
チムニーの採取と熱水の温度測定と採水、生物サンプルの採取が主な目的です。チムニーの一部を採取して、その構成物と内部のバクテリアの調査などをおこないます。

深海底でピンポイントの場所に行き着くことは、なかなか至難の技でもともと記録していた場所がズレていたりすると探すだけで 30分以上かかってしまうものです。
探し当てた後も大変です。
チムニーはとても脆く、ビークルを当ててしまえばあっという間に崩れ去り、マニュピレーターで摘みすぎればこれもまた崩壊します。
ハイパーチームの腕の見せ所です。
きょうは若いクルーの担当のようです。運航長に怒られながらもミッションをこなそうと頑張っていましたが思うようにいきません。
研究者は数少ない航海ですからワンチャンスを逃したくありません。クルーのみなさんのそのプレッシャーたるや大変なものです。
分かってはいるものの、何かあれば、ついっ「あっー」、「エッ!」とか漏らしちゃいます。
その点ベテランクルーは、マニュピレーターの腕の長さや動き、関節の角度を熟知しているので、考えながらも我々の要求に即座に対応してくれます。さすが!!
ベテランクルーのおかげで貴重なサンプルが何とか手に入りました。
船上で飼育しながら実験をおこなう研究もあり、生物のサンプル採集もその方法にかなり左右されます。
ハイパーチームの活躍のおかげで、我々研究者は船上での実験や飼育作業をおこなうことができるのです。
若手クルー頑張れ!!
若手の育成にはどこも?大変ですね。ベテランクルーの技術を早く盗んで思うがままにビークルを操作できる日を楽しみにしていますね。

今回採集されたチムニーは、大きさ50~ 60cmくらいで重さにすると 50kgだったそうです。
チムニーの構成物では黄鉄鉱や黄銅鋼などだそうですが、詳細はまだ不明です。
断面を見せてもらいましたが、キラキラと光ってきれいでした。
また、チムニーの中央には 15cmはあろうかという熱水の通った楕円形の穴もしっかり見ることができました。
映像画面で見ているとあまり大きさというものを感じることができませんが、実際に上がってくるとても大きいですね。
このチムニーには、鉱物だけでなくバクテリアも棲んでいるため、バクテリアの培養のチームも多数乗船しています。
ほか、熱水の成分調査の化学チームも同じく乗船しています。

岩石からバクテリアを培養するとは一般的にはあまり馴染みがないと思いますが、いろいろなところに生物が棲んでいて、研究者のみなさんも思考錯誤策をおこなってこのバクテリアの培養に挑戦しています。
新たな培養装置の実験や遺伝子、目に見えない熱水成分を調べたりとミクロの世界の研究ですね。

さて、あしたは私たちの飼育実験に必要なゴエモンコシオリエビのサンプル採集です。
きょうは早めに休んであすに備えたいと思います。

それでは、またあした。


ドライラボでのワンシーン

ドライラボからハイパーの画像が見られます


JAMSTEC(海洋研究開発機構)NT15-14「なつしま/ハイパードルフィン」による中部沖縄トラフ熱水活動域における熱水化学および化学合成(微)生物学調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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