2016年11月21日

西部北太平洋調査航海(12)航海日誌12日目

  • 期間:2016年11月10日~11月25日
  • 場所:西部北太平洋
  • 目的:「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」
  • 担当:杉村


きょうは特に揺れていますね・・・ 今まで一番かもしれません。
揺れていない日は本当に無いです・・・ 北の海は侮れません。
ちょうど気圧の谷間にいるそうで、天候は良く青空が見えていますが風が強いせいで波が高いようです。
絶え間なく波が船底を叩く衝撃が伝わってきます。


本航海一番の波!!・・・ たぶん

大きく揺れる中、各ラボでは先日の観測で採取した海水の分析やその準備がおこなわれています。
ラボを覗くと採取した海水を分析しやすくするため、専用の機器を使って数十倍に海水を濃縮したり、光に当てて植物プランクトンの培養をおこなったりしていました。
別のラボでは薬品を混ぜて滴定分析もおこなわれていました。
サンプルが新鮮なうちの分析や準備などに時間のかかるものから始められていきます。
また、採集されたプランクトンの中から調査対象種だけを選別する作業も引き続き行われ、顕微鏡を覗きながら非常に細いピペットを使って種を単離して分析用のパレット(たこ焼き機を小さくしたような形)に入れていきます。
そして、パレットごとインキュベーター(恒温機)で生きたまま保管します。
このような手間のかかる分析の積み重ねによって、調査海域の基礎生産量や海水組成などが分かるようになっていくんですね。


夜遅く大変な分析の合間のひととき

私は、私で飼育を始めたクラゲやオヨギゴカイなどの水槽の換水や用意したエサを与えるなどの飼育実験を 2℃に設定した冷蔵コンテナで行っています。
水槽の中でどのように浮遊しているのか、餌は食べているのかなど小型のウェアブルカメラを使って観察しています。
ちなみに調査海域の水温は 3℃でした。
コンテナの照明を消して水槽だけを照らして撮影すると、まるでミニ水族館のようになり、研究者のみなさんもたくさん見に来てくれました。


飼育実験記録中

帰港までは、まだ4日ほどありますが航海中にもう一つのミッションが待っていました。
あさってに予定されている「洋上セミナー」です。
研究者のみなさんだけではなく、船員さんも聞くとのこと・・・ ヒェ~。
航海終盤に差し掛かってのプレッシャー・・・ セミナーの準備をしなくては・・・ 。

ではまたあした。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)YK16-16 西部北太平洋「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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