2019年11月07日

豊潮丸 硫黄島周辺海域生物採集調査航海(7)航海日誌 7日目/西川

  • 期間:2019年11月1日(金)~2019年11月8日(金)
  • 場所:鹿児島県硫黄島周辺海域
  • 目的:ドレッジやプランクトンネット、潜水による生物の採集および海洋環境調査
  • 担当:足立・西川


航海7日目。昨日からずっと船が動きっぱなしです。
今朝はゆらゆらと大きく揺れて船酔いしてしまいそうでしたが、それでも甲板に出れば日が差し、気持ちのよい朝でした。
きょうは九州と四国の間で調査をしました。


ドレッジ採取物


ソリネット採取物

今回も砂が多く入っていましたが、これまでの水底調査の中では一番生物が多かったように思います。
特にソリネットでは、たくさんのエビやウミシダが採集できました。
水深が比較的浅めだったので温かい水温で飼育しています。

調査の合間のタイワンホウキガニのお世話では、1日1回餌をあげ、しばらくしたら食べ残したエサを回収し、水を換えます。
それから今回はプラスチックのサンプル瓶で飼育しているので、酸欠にならないように酸素を充填してから蓋をしています。
甲幅 2cmほどの大きい個体から、数mmの小さな個体までいるので、餌をいきわたらせるのは大変ですが、よく共食いをしてしまうそうなのでそんなところにも注意して管理しています。


オキアミを食べるタイワンホウキガニ


きょうはプランクトンネット採集が、21時から 3時間毎に 5回あります。
これがこの航海の最後の調査です。
夜間の採集なので表層にあがってきた深海生物を採集できる可能性が高く、クラゲはもちろんですが珍しい深海魚も期待できます。
1回目、21時の調査結果はこんな感じでした。


21時プランクトンネット採取物

ヤムシやサフィリナというカイアシの仲間が採集できましたが、大きな生物はいませんでした。
この後もまだ 4回チャンスがありますので、ワクワクして今夜は寝られないですね。

最後に今回の航海で採取されたゴミを紹介します。
乗船時の自己紹介で、海のゴミを集めていますといったら笑いを取ることができました。
確かにごみを集めているのは変人に見えるかもしれませんね。
現在、自然に分解されない海洋プラスチックを魚やイルカ、ウミガメなどが食べてしまうことが大きな問題になっています。
今回の航海だけでこれだけのゴミを集めることができました。
(豊潮丸乗船のみなさま、集めていただきありがとうございました。)
いつか海洋プラスチックを集めようとしても、全く採取されない調査航海に乗船したいです。


採取された海洋プラスチックゴミ

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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