2021年07月18日

かいれい 駿河湾清水沖生物調査広報航海(2)

  • 期間:2021年7月17日(土)~7月18日(日)
  • 場所:駿河湾清水沖
  • 目的:無人探査機「かいこう」による海洋環境調査と生物の採集、深海調査の生放送
  • 担当:西川


おはようございます。船上で朝を迎えるのは久しぶりですが、起きた瞬間から目の前に広がる海を見ると、とてもすがすがしい気持ちになりますね。よしきょうも頑張るぞっ!というやる気も湧いてきます。
さて、きょうは深海調査の日です。船の朝は早く、「かいこう」の運航チームは5時半過ぎから活動しています。私たちトリーターも深海へ沈める餌を準備して、潜航開始時刻に合わせて「かいこう」に積み込みました。いよいよ潜航開始です。


かいこう

潜航開始時刻は9時。着水の瞬間まで見学して、急いで指揮室に向かいました。
指揮室にはたくさんのモニターと操作盤があって、そこで「かいこう」をコントロールします。


指揮室

「かいこう」が潜航し始めてから水深1000mに着くまでの時間はおよそ1時間半です。ゆっくりと海底に向かっているので、その間もどんな生物が通るかわくわくしてモニターに注目していると、水深800m付近で浮遊性のエビやカブトクラゲの仲間が見えてきました。「かいこう」のライトに照らされた深海生物がマリンスノーと共に画面を横切っていくのはとても幻想的です。その後もジッとモニターを見ていると、みんなの「おっ!」という声が指揮室に響き渡りました。なんとユメナマコがいたのです。しかも立て続けに3個体確認できました。できれば採集したいのですが、着底するまでは採集ができず、断念、、、着底後にもう一度出会えることを期待するしかありません。
そして着底、そこは水深980mの世界です。まず見えるのは、泥の海底と無数にいるクモヒトデの仲間です。
まずは、魚をおびき寄せる餌を設置します。


設置した餌

このように設置し、しばらくはこの場所から離れて周囲を観察した後で戻ってきます。
ここからが海底探索のスタートです。観察できる深海生物は、ソコダラの仲間、ホラアナゴの仲間、ワタゾコナマコ、そしてウルトラブンブクというウニの仲間が多く、2,3分に1回くらいの頻度でモニター映ります。そして調査開始から40分が経過した時、ついにいました、ユメナマコです。さっそく採集開始!スラープガンという道具を使って生物を水ごと吸い取るようにして採集します。スポッときれいに吸い込んで1個体目採集しました。そしてこの日はとても運がよく、この後の20分間でなんとユメナマコをさらに3個体採集し、最後にはハゲナマコ1個体を採集することができました。
餌を置いたポイントに戻ってみるとそれほど多くの生き物はいませんでしたが、動かずにそのままジッと待っていると、ユメザメが寄ってきました。サメでありながら可愛らしい顔つきをしています。


ユメザメ

そしてユメザメの観察を最後に潜航時間終了が終了し、設置した餌を回収して「かいれい」が戻ってきました。深海1000mの海底にはあまり多くの生物はいませんが今回の潜航では期待していたよりも多くの生物を観察することができました。

深海から戻って来た「かいこう」には、しっかりとユメナマコとハゲナマコが積まれていました。ここからがトリーターの腕の見せ所でもあります。なるべく傷をつけないように丁寧に水槽に搬入し、長く生きてもらえるようにケアをします。
こちらが搬入直後のユメナマコで、右側にいるのがハゲナマコです。どうしても擦れてしまいますね、少し傷がついています。


私自身、生きたユメナマコを見るのは初めてです。図鑑や映像で見たユメナマコが目の前で泳いでる!感動しました。この航海日誌をご覧になっている皆さまにもこの姿を見てもらいたいと思いますので、これから水族館に戻って展示準備を進めます。
短い航海でしたがとても充実した航海でした。本航海の関係者皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

※ユメナマコの展示は8月2日(月)をもちまして終了いたしました。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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