(山本) きのうの夜は、爆風と雨の中、停泊場所で無理矢理釣りをしてみましたが、何の反応もなく・・・。
ただただ餌のオキアミとキビナゴを海中で上げ下げしていました。悲しい。
さて、とうとう下船の日がやってきました。きょうは少し早起きです。
穏やかな海!良い景色です!
朝ごはんの前に、スムーズに下船ができるように荷物をまとめました。
きのう足立トリーターが言っていたように、私たちの航海は、下船して終わりではありません。「展示するまでが仕事」です。そのため、本番はこれからといっても過言ではありません。
生物の状況を逐一チェックしながら、輸送の準備をしていきます。
朝ご飯を食べた後、お世話になった勢水丸をみんなでしっかり掃除して、いよいよ松坂港に入港です。念願の「陸」との再会に、心の中では涙を流していました。大地万歳。
松坂港から水族館までは、なんやかんや6時間以上かかりますので、無事に搬入できるかどうかは私たちの技術にかかっています。
温度は? 酸素は? 一個体ずつ? どれとどれを一緒にする?
さまざまなことを判断しながら、生物を慎重にパッキングしてトラックに積んでいきます。
お世話になった船員さんや先生、学生さんたちに少し慌ただしく別れを告げ、松坂港を後にしました。
途中近くの漁港に少しだけ寄り道し、ドフラインクラゲを採集することができました。
(足立) 船の上は、非日常の別世界なので、下船の時は、現実世界に戻ってしまう感じがして、「ああ、終わってしまった」と、いつも思ってしまいます。またいつか、勢水丸に乗せていただける機会があったらいいなと思います。
途中、サービスエリアでの休憩時に生き物たちの生存確認をし、夕方、“えのすい”に無事到着しました。事前に知らせてもらっていた水槽に採集生物を収容し、必要な標本を作成し、道具やトラックを洗って片付けるうちに、あっさりと日常が戻ってきました。
(山本) ということで、今回の勢水丸航海は無事に終了です!
ありがとう勢水丸!そして、勢水丸の船員のみなさま、北里大学の先生方、学生のみなさま、本当にたくさんのことを学ばせていただきありがとうございました。
正直かなり大変でしたが、今回得た経験は、必ず今後の展示に活かしていきます。
以上で、2022年4月「勢水丸航海」の航海日誌を締めさせていただきます。お付き合いいただきありがとうございました!
書きこぼしたことなどは、またトリーター日誌の方でも書きたいと思いますので、お楽しみに!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。