2011年12月
第52回 日本動物園水族館教育研究会 江の島大会
堀 由紀子 ・ 堀 一久 ・ 植田 育男
新江ノ島水族館の高等教育機関・研究機関との連携
堀 由紀子 ・ 堀 一久 ・ ○植田 育男
新江ノ島水族館
要旨
新江ノ島水族館(以下江ノ島)では、2004年4月のオープン前より様々な大学、研究所と提携関係を結び、基礎資料や情報の収集、水族とその生息環境の調査研究を行っている。演者らは、長期継続した共同研究を取り上げ、その成果を検討した。
江ノ島の主要な相手方は3機関、日本大学生物資源科学部(以下日大)、(独)海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)、東京工科大学デザイン学部若林研究室(以下工科大)である。
日大とは1999年3月に旧江の島水族館との間で、研究と教育を協力して行うための覚書が交わされ、共同関係が始まった。開始当初は日大学生の実習や授業が江ノ島で行われるようになり、その後クラゲを用いた癒し効果の共同研究に発展した。本研究では、研究材料と観察現場として江ノ島が活用され、日大教官・学生と江ノ島学芸員とが共同して心理学的観察や医学的実験を行った。その一部知見は、2011年7-8月にクラゲに特化した演示展示に発展した。
JAMSTECとは2003年に「深海生物の長期飼育に関する共同研究」をテーマとして、共同研究の契約が交わされ、初回5年間、2回目4年間の各フェーズが進行した。初回5年間の共同研究成果として「化学合成生態系水槽」の開発・常設展示へと結実した。
工科大とは相模湾大水槽の水槽展示をCGでPC上に再現させ、来館者が任意に情報を取り出す機能を持たせた解説コンテンツの開発を行った。この情報には飼育を通じて得られた江ノ島独自の内容が多く含まれている。研究の第一の終着点としては、口頭発表や論文による公表が考えられるが、共同研究の水族館側の終着点としては、得られた知見を展示したり、教育プログラムに活用することが挙げられ、そこには新たな博物館活動が展開できる機会があると考えられる。





