新江ノ島水族館と大学との共同研究-北里大学との取り組みを例に-

2011年12月
第52回 日本動物園水族館教育研究会 江の島大会(ポスター発表)
根本 卓 ・ 北田 貢 ・ 杉村 誠 ・ 三宅 裕志



新江ノ島水族館と大学との共同研究
-北里大学との取り組みを例に-

根本 卓(1), 北田 貢(1), 杉村 誠(1), 三宅 裕志(2)
 (1) 新江ノ島水族館
 (2) 北里大学

要旨
当館では大学との共同研究を積極的に行っている。2011年上期現在、東京大学、東京海洋大学、日本大学など8大学と共同研究契約を結び研究活動を行っている。その分野は生理学や分子生物学、生態行動学などの生物分野の他に、工学や人間行動学などと多岐にわたる。これらの大学へは飼育生物や標本、施設を提供し、大学からは研究活動に必要な情報や実験機材などの協力を得ている。これらの成果は各分野へ貢献すると共に、一部は展示へと応用され、当館の展示を特徴づける要素の一つとなっている。
その中でも北里大学海洋生命科学部とは強いパートナーシップを築いており、クラゲや深海生物での取り組みを行っていたが、特に東日本大震災後、その関係はより深くなっている。同学部は岩手県大船渡市にキャンパスを持つが、震災の影響で相模原キャンパスへと一時的に転居を余儀なくされた。相模原キャンパスには海洋科学を研究する設備は無く、実験に必要な水槽や海水などが不足し、さらには研究するフィールドも未開拓であった。当館は震災直後から協力を始め、新入生向けへの講話や、研究用の備品や海水の提供、卒業論文を抱える学生の受け入れを行っている。同学部は、震災による学部移転を消極的な要素として捉えるのではなく、プラスに捉え、積極的に活動を展開しており、最近ではキャンパス内で学生による小さな水族館の運営を始めている。今後、当館で同学部学生による企画展示も計画されている。

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