江の島の潮間帯で見られるヤドカリ類の生息状況

2013年11月
博物館交流会「市民による横須賀の自然誌2013」 横須賀市自然・人文博物館)ポスター発表
北嶋 円 ・ 伊藤 寿茂 ・ 冨永 早希 ・ 佐野 真奈美 ・ 岩崎 猛朗 ・ 植田 育男 ・ 村石 健一 ・ 萩原 清司



江の島の潮間帯で見られるヤドカリ類の生息状況

北嶋 円(1) ・ 伊藤 寿茂(1) ・ 冨永 早希(1) ・ 佐野 真奈美(1) ・ 岩崎 猛朗(1) ・ 植田 育男(1) ・ 村石 健一(2) ・ 萩原 清司(3)
 (1) 新江ノ島水族館
 (2) 相模湾海洋生物研究会
 (3) 横須賀市自然・人文博物館

[要旨] 相模湾奥部に位置する江の島は周囲約3kmの陸繋島である.その海岸は,砂浜や岩礁,転石地帯,人工護岸など,さまざまな環境を有し,島の北西岸に接する境川や島内より湧き出る淡水の影響も受けている.そのため,島内では地点によって異なる海岸動物相が見られることが,過去の調査によって知られている.
この度発表者らは,潮間帯で見られるヤドカリ類(ヤドカリ上科とホンヤドカリ上科に属する異尾類)の生息状況を把握することを目的とし,2013年5月14日~6月26日の大潮にあたる4日間,島内の異なる環境の海岸9地点においてヤドカリ類の生息状況調査を行った.
調査の結果,2科4属11種5,339個体のヤドカリ類が得られた.最も数が多かった種はホンヤドカリで,採集された総数の82%を占めた.
磯や転石地帯の波あたりが強い南岸は,北岸に比べてヤドカリ類の確認数が多く,また,多様性が高い傾向がみられた.砂が堆積している内湾側の北岸ではホンヤドカリが少なく,ユビナガホンヤドカリが多数確認された.ヤドカリ類は種によって選好する波浪の強さや底質に違いがあることが知られており,本調査において明らかとなった各種の生息状況は、過去の知見で示された傾向と一致した.

RSS