2013年11月
博物館交流会「市民による横須賀の自然誌2013」 横須賀市自然・人文博物館)ポスター発表
伊藤 寿茂 ・ 北嶋 円 ・ 冨永 早希 ・ 佐野 真奈美 ・ 岩崎 猛朗 ・ 櫻井 徹 ・ 植田 育男 ・ 村石 健一 ・ 萩原 清司
江の島におけるサワガニやイワガニ類の生息状況
伊藤 寿茂(1) ・ 北嶋 円(1) ・ 冨永 早希(1) ・ 佐野 真奈美(1) ・ 岩崎 猛朗(1) ・ 櫻井 徹(1) ・ 植田 育男(1) ・ 村石 健一(2) ・ 萩原 清司(3)
(1) 新江ノ島水族館
(2) 相模湾海洋生物研究会
(3) 横須賀市自然・人文博物館
[要旨] 私たちは相模湾に面する陸繋島である江の島において,1980年代後半より海岸動物相の調査を続けてきた。今回はそのうち,潮間帯から陸域にかけて確認されたカニ類の生息状況について紹介する。
調査は,海岸線上に設けた地点でカニ類を確認する定点調査や,島内を徒歩探索しながら出現種を記録する踏査,特定の種に的を絞り,確認地点の環境を詳細に測定,記録する調査など,様々な方法で行った。
調査の結果,6科16種以上のカニ類が確認された。陸域ではアカテガニが様々な環境で見られたほか,湧水のある地点でサワガニが,潮上帯の転石地帯でカクベンケイガニが比較的多く確認された。潮間帯ではイワガニとイソガニが海岸線のいたるところで多数確認された。河川水の影響を受ける島の北西岸でケフサイソガニが,波あたりが強い南岸の転石地帯でアカイソガニがそれぞれ確認されたほか,クロベンケイガニやヒメベンケイガニ,ヒメアカイソガニといった種も局所的に出現した。
江の島は小さな面積に様々な地形を有し,さらに河川水や湧水の影響を受ける地点が散在している。こうした条件の組み合せがもたらす多様な環境がこれらのカニ類の利用を可能にしていることが示された。