新しいクラゲ展示への取り組み

2013年11月
第58回 水族館技術者研究会 話題提供 (日本動物園水族館協会)
足立 文 ・ 島津 恒雄 ・ 小谷野 有加 ・ 笠川 宏子 ・ 杉村 誠



新しいクラゲ展示への取り組み

足立 文 ・ 島津 恒雄 ・ 小谷野 有加 ・ 笠川 宏子 ・ 杉村 誠
新江ノ島水族館

[要旨] 新江ノ島水族館は,開館以来50年以上にわたりクラゲ類の展示飼育に取り組んできた.生物学的な側面だけでなく,クラゲの優雅な泳ぎから感じられる,浮遊感や神秘性,そして安らぎや癒しといった魅力が伝わるような展示方法の工夫も行っている.今夏(2013年)はさらにクラゲ類の展示の充実を計画し,新しい展示手法を取り入れて展示室の拡張,リニューアルを行い,加えて様々なクラゲに関するイベントも行った.
1. クラゲファンタジーホール: 開館当初からのクラゲ展示エリアであるが,「極上の癒し空間」とするべく改装を行った.更に中央に球体の水槽(2)を新たに設置した.
2. 球体水槽「クラゲプラネット(海月の惑星)」: 直径900mm,水量は約400リットルである.飼育水のオーバーフローが球体の表面を覆うように流れ出る点が,新しい試みとなっている.
3. クラゲサイエンス: クラゲについて楽しく学べることを目的として,新たにオープンしたクラゲ展示エリアで,37の小型水槽を設置した.
4. クラゲの公開実験: クラゲが刺す理由や仕組みをよりわかりやすく伝えることを目的とし,クラゲの体や摂餌の様子,また酢酸を用いて刺胞から刺糸が発射される瞬間を顕微鏡を用いて紹介した.
1回約10分間の公開実験で老若男女約30名の聴衆があり,関心の高さが伺えた.
5. ミズクラゲのタッチプール: 既存のタッチプールの一角を使い,専属のスタッフを配置して,触り方の指導および解説を行った.
6. クラゲショー「海月の宇宙~生命の神秘~」: 2011 年より開始した,音楽と照明による7~8 分間の演出.夏季は,クラゲをモチーフに「生命の神秘」を感じさせるナレーション入りで行った.

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