2025年05月03日

さかなクンにより54年ぶりの再会
旧・江の島水族館が新種として報告した幻のナミダカサゴ

  • 展示開始日:2025年 5月 3日(祝・土)~
  • ナミダカサゴ
  • 学名:Rhinopias argoliba
  • スズキ目 フサカサゴ科
  • 大きさ: 10.3cm
    採集場所: 館山の定置網
    採集協力: やまと丸
    展示場所: ウェルカムラウンジ

ナミダカサゴは、1971年 伊豆海洋公園地先水深50mにて採集された個体を、旧・江の島水族館 廣崎芳次 2代目館長らが1973年に新種として報告しました。学名の argoliba は眼から銀色(argon)の涙(liva)を流す“カサゴ”という意味で、和名の「ナミダカサゴ」も同じく眼付近にある涙模様に由来しています。
旧・江の島水族館で飼育していた当時はうすい皮を脱ぐようす(脱皮)も観察され、約15日間隔で脱皮をしていた記録が残っています。 この旧・江の島水族館にて報告された以降の発見記録は、ダイバーによる水中写真等での報告のみで、生体・標本入手の記録はありませんでした。

2025年4月29日(祝・火)の朝、さかなクンより館山でナミダカサゴが採集されたという連絡が入り、翌日当館へ届けてくださいました。 1971年の生きたナミダカサゴを見たことがあるスタッフは誰もいないので、全員が興奮しました。
生体展示は54年ぶりになります。さかなクンが届けてくださった際にいただいたナミダカサゴのイラストと併せて、貴重な魚をご覧ください。

※ナミダカサゴの種同定について
ナミダカサゴによく似た形態を持つニセボロカサゴという種があります。両種の間には、中間的な形態的特徴をもつ個体が存在することも知られており、本個体についてもナミダカサゴの特徴である背びれのつくりや眼下の涙模様はあるものの、ニセボロカサゴの特徴である下顎の皮弁も見られます。今後成長の過程で、形態的特徴が顕著になれば、別種と判断される可能性もありますが、現時点では、本展示個体については、さかなクンをはじめ、分類の専門家からのアドバイスをいただきながらナミダカサゴの特徴をもつということで、ナミダカサゴとして展示をしています。
今後も観察を続け、慎重に調査・検討をおこなっていきます。

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