この行動は、新江ノ島水族館になってから観察されるようになった行動です。
旧・江の島水族館でも同じ行動が見られていたのかもしれませんが、当時は屋外飼育で、繁殖期の秋~晩春では風が吹くため、水底の床の水色が、風で飛ばされた砂によって真っ黒になります。その水底をフンボルトペンギンが泳いでも、上から見ていると保護色になってよく見えないことが多くて、観察の機会も少なかったと記憶しています。
さて、新江ノ島水族館になって、水底の色を濃い紺色にしました。
当時、強力な水銀灯を使用していたこともあり、水底が明るいと反射して自然な調光になりにくい経緯もあったのか、他園館でもあまりないほど濃い紺色の水底色にしました。
この環境で、産卵時期を迎えるペンギンたちはどの個体も、産卵少し前から水底遊泳をするのが頻繁に観察されるようになりました。
よく観察してみると、水底へ沈んだ自分たちの尿が固まったものをついばんでいるようにも見えます。

鳥の尿は白い尿酸として排出されて、結晶化します。なんと水中でも流れがないと結晶化して、3日も経つとブラシくらいでは取れなくなるんです。
この結晶化した尿酸塩をつついているのかと思いつつ観察を続けると、とにかく白っぽい物質を探してつついているようなのです。海底で見つかる白いものって何でしょう? 想像するに、死んだ貝の貝殻片とか死んだサンゴの骨とかでしょうか。
注目すべきは産卵前というところで、卵を体内で作る過程で必要なものを摂取すべく、索餌行動ならぬ索白物行動をしているようなのです。
インコを飼育されている方はコウイカの骨を与えてみたことがあるかもしれませんが、同じ主旨ではないかなと思っています。
ちなみに他の施設のペンギン飼育者にも伺っているのですが、そんな行動は見たことがないそうです。ペンギン舎に限らず、動物のプールの色って薄めの青系が多い印象ですので、そのせいかもしれませんね。
バイオロギング研究者のみなさん、産卵前のペンギンの遊泳行動でなにか同じようなことがおこっていたら、ぜひ教えてください!
ということで、本日3日、無事に「コハク」は産卵することができました!!