さて、タイトルの「67.8」。これは何を意味している数字だと思いますか? 急に言われても分からないですよね。
最近のトリーター日誌によく登場する、6月 19日に誕生した子イルカに関する数字なんです。
正解は、生後 1週間での子イルカの胴回り(胴周囲)の長さでした!
単位をつけると「67.8cm」です。胴回りなんて私たちは普段なかなか測定しないので、ぴんとこないですよね。ですが、子イルカにとってはとても大切なデータ。胴回りの値が大きくなっているということは、しっかり体が大きくなっているということが数字として分かるからです。私が両手を広げた長さが 160 cmだったので、子イルカを両手で抱きしめてもかなり余裕がある大きさです。
この「67.8cm」、私にとって特別な数字になりました。その理由を説明するために、少々難しいお話をしますね。
胴回りや体重・体長などの体型の変化や、血液の値を知るためには、親子のイルカを安全に検査できる環境を作らないといけません。その環境を整えることが難しく、非常に高い技術が必要です。
検査ができるということは、子イルカの体調に異常があったときにすぐ治療をすることができるということで、小さい命をつないでいくためには重要なことです。さらにいうと、体調に異常がなくてもしっかり成長しているかの確認をし、健康なときの血液などのデータを知っておくことで、何かあったときにそれが異常かどうかを知ることができます。
私たちはここ 10年ほど、その技術を高めるために、経験値の高い施設に研修へ行ったり、当館で産まれた子イルカの検査を積極的におこない、都度試行錯誤してきました。
最初は自分たちの技術にまだ自信がなかったので、生後 2か月で最初の検査をおこなうところから始まりました。
何度もシミュレーションと練習を重ね、検査後はトリーターと医療チームで反省点を共有し、時間をかけてチームとしての技術と経験値を高めてきました。
そうやって動物も人も安全性を高めておこなっていますが、もちろん小さい体の子イルカの検査はリスクもあります。ですが、リスクを恐れてばかりでは技術は進歩しません。
なので、最後に大切なのは「覚悟」です。この取り組みが命をつなぐために必要なことなんだ。今まで助けられなかった命を無駄にせず、これから産まれて来る命を助ける技術を身につける。そして、その「覚悟」を持ち続けること。これが本当に大切です。
子イルカの検査をおこなう取り組みを始めてから約 10年。気付けば、取り組みを始めたときにいたスタッフの方が少なくなり、メンバーもずいぶん変わりました。ですが、今回産まれた子イルカは、最初にお伝えしたように生後 1週間で検査ができました。これは技術が私たちのチームに根付き、想いがつながり続けた結果だと思っています。当たり前ではなかったことが、当たり前になったんだなと。
「67.8cm」
この数字に出会えるまでのことを思い出すと、少し胸が熱くなってしまいました。今一緒に働いている頼もしいチームメイト、違う道を歩むことになったけど一緒に取り組んできた方たち、同じ想いをもって背中を押し続けてくれる同業者のみなさん。全ての方々に感謝しています。
もちろんここで終わりではなく、あくまで通過点なのでこれからも成長を続けていきます。
その後も定期的に検査はおこなっていて、本日測定した胴回りの値は「84.8cm」。生後 1週間で測定したときから 17 cmも大きくなっています!! 小さい頃の成長スピードってすごい!!
お母さんの「シリアス」の胴回りは 150 cm。「シリアス」はえのすいのイルカの中でも体が大きい方。いつかお母さんの大きさを超えるくらいこれからも元気に育ってもらえるよう、トリーターたちはサポートしていきます!
生後6日目の写真
最近の写真大きくなっているのがわかります??