我々えのすいトリーターは、展示飼育業務に加えて、研究活動をおこなっております。
どのような研究活動をしているかは、ホームページの 研究発表 のページや 過去の トリーター日誌 をご覧いただければ、どんなものに興味があり、日々調べているかわかると思います。
多くのトリーターは一般の、一般の感覚とはちょっと違う、いい意味でちょっと変態(?)なので、日々熱い思いで生き物を見ています。 最近では村井トリーターが イカの見分けの話 をしていましたね。
そのような研究を進めているため、日々出版されている新しい論文から積極的に情報収集しています。 それらを自身の研究に生かすのはもちろん、日々の展示、解説にも積極的に活用しています。先日、漁師さんからいただいた魚の標本を見ているときに、以前見た論文を思い出しました。
その論文は、クロホシイシモチ、オオスジイシモチ、ネンブツダイ、マンジュウイシモチなどの婚姻色についての論文です。 それらの魚のオスは、卵を孵化するまで口の中で卵を保育します。
口の中の卵は成長により色も変化しますが、通常、クロホシイシモチ、オオスジイシモチなどのテンジクダイの仲間の下顎は、透明なことが知られています。 透明な下顎では口の中の卵が透けて見えますね。 クロホシイシモチなどの腹面は白色なので、白くない卵の色は目立ってしまいます。この論文では繁殖期のオスには、その下顎に白色の構造が形成され、これによって口内の目立つ卵の色が見えにくくなっているということでした。
へぇ~!、そんなことがあるのか。と長年飼育していながら気がつかなかったショックと、見てみたい! という気持ちが出てきました! が、生きている個体からはなかなか確認できず・・・
ただ、今回水族館から近い定置網から入手した、繁殖期のネンブツダイのオスとメスを同時に確認する機会ができました!

こちらが確認したネンブツダイです。 上がオス、下がメスです。

ちょっとアップでこちらがオス、上顎の先が突き出ていますね。

ちょっとアップで、こちらがメス。 ちょっと違いますね。
オスの上顎の吻先(ふんさき)は、メスと比べると突き出ている特徴がありますので、そこだけ見ても違いがわかります。
で、肝心の下顎を見てみましょう。 口を開いた状態の画像がなくてわかりにくいのですが、吻先の方を見ると確かに違う!・・・と、直接標本を見ているとわかりますが、画像からわかりますか?

上がオス、下がメスです。 吻先のほうに注目です! オスのほうが白く、メスは白くありません。
ネンブツダイ、クロホシイシモチ、マンジュウイシモチなどは全国の水族館でよく展示されており、ネンブツダイ、クロホシイシモチについては、ほとんど周年このあたりの定置網にいる魚種ですが、このような論文がでるまで詳細は報告されていませんでした。
これらのことからも、身近にいる生き物にもまだまだ秘密がたくさんある証拠で、ますます調べたくなります! これからもえのすいトリーターの研究にご期待ください!
今回参考にした論文は下記のものです。 ご興味があればどうぞ!