2026年01月11日
トリーター:藤田

「くらべてみよう サンゴとわたし」10:日陰が好きなサンゴたち 改

みなさんこんにちは。
新年早々インフルエンザでダウンしておりました藤田です。
実は十数年ぶりのインフル罹患でしたが、初めて聞く名前の薬が処方されて、技術の進歩と時の流れを感じました。
おかげさまで完全復活しましたので、2026年もばりばり潜って調査して、たくさんの海の生物の魅力をお届けしていきたいと思います!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、えのすい特別企画展「 くらべてみよう サンゴとわたし 」担当トリーターたちによる、サンゴバージョンのトリーター日誌の2周目が回ってきました。
ついに 第10弾です!
サンゴそのものというより展示にまつわるお話ですが、書きたいことがあるので今回は展示水槽のことについてです。

前回の日誌 でキサンゴについて紹介した際に宣言していた展示替えをおこないました!!
実は 12月下旬に展示替えをして既に半月以上経っているんです、、が、この変化に気づいてくれた方は、はたしていらっしゃるのでしょうか。。。(笑)
正直、よほどの “えのすい” 通でもない限り、お客さまは誰も気づいていないと思います。
これは言わなきゃ伝わらないと思うので、ここでアピールさせてください…!

まず今回の展示替えの主な目的は、実際に現地で観察した光景に近づけ、よりリアルな逗子沖の環境を再現することです。
これまではキサンゴを入手したら、まるで雛飾りのように上から段々と積み重ねてきていました。
長年の積み重ねにより、水槽の下の方には共肉のなくなってしまったキサンゴの骨格が蓄積し、キサンゴの枝の隙間にはコケが繁茂している状態になってしまっていました。
しかし、実際の逗子沖ではもっと垂直に近い角度でキサンゴの仲間が岩に付着していたり、根の下の方にポツンと立派なオオエダキサンゴの群体が鎮座していたりします。
レイアウトをもっと自然にしたい、骨格だけになっていたりコケに覆われたキサンゴを取り除いてきれいにしたい、という訳で、相模湾ゾーン 海岸水槽 逗子沖サンゴの水槽の水を抜いて、魚もサンゴも全部出す! 展示替え開始です。

逗子沖サンゴの水槽だけ落水します逗子沖サンゴの水槽だけ落水します

実は逗子沖サンゴの水槽は、隣のアマモ場の水槽と漁港の水槽と配管が繋がっていて、同じろ過槽を共有し循環しています。
そのため、両隣から独立させて循環を止めて、水位に気を付けつつ注水量の微調整が必要でした。
また、これまであまり頻繁には展示替えをしてこなかった水槽でもあり、少なくとも私が入社してからは 逗子沖サンゴの水槽の落水は初めてでした。
排水のバルブの位置がバックヤードの予想もしていない場所にあったり、ドタバタてんてこ舞いです。
それでも園山トリーターと加登岡トリーター、そして飼育設備チームの協力でなんとか魚とサンゴと水が抜けました。

岩をこすって きれいにします岩をこすって きれいにします

普段はキサンゴが配置してあるので潜水しても慎重にしか掃除できませんが、水槽が空なので思いっきり掃除ができます。
キサンゴの骨格に埋め尽くされていた岩肌が露出して、「逗子沖サンゴの水槽の擬岩ってこんな形だったんだ!」と始めて見る地形に驚きです。

復旧していきます復旧していきます

掃除が終わったら、キサンゴたちを新たなレイアウトで設置しつつ海水を張っていきます。
それでは最終的にどのように変化したのか、ビフォーアフターでご覧ください。

BeforeBeforeAfterAfter


見比べてみれば、かなりすっきりしました! よね!?
岩肌の垂直な部分にも、キサンゴが広がっているように見えていればうれしいです。
そしてもっさりしたコケも取り除いてきれいになりました。
キサンゴは衝撃を与えるとすねて、なかなかポリプを開かなくなってしまうので、展示替え直後は開きが いまいちな日もありましたが、最近は少しずつポリプの開きが良くなってきました。

また、実際に現地で多く観察されたキンギョハナダイやネンブツダイをメインに、魚種も少し変えています。
控えめながらも目を引くアカオビハナダイも、現地で観察して印象に残っている種です。
もうちょっと大きな群れにしていきたいですね。

ここから余談なのですが、展示替えが無事に終了した後、なんだか腕にちくちくとした痛みを覚えました。
肌が胴長に触れると、針が刺さったような痛みが走るので、何かと思って腕を見てみると両腕にぶわっと赤い湿疹が出ていました。
「これはサンゴの刺胞にやられたか?!」と思って、せっかくだから特別企画展サンゴバージョンのトリーター日誌のネタにしようと思っていたのですが、先輩たちに聞いてみると、どうやらウミケムシに刺された説が濃厚だったのでちょっと刺され損でした。
一緒に作業していた加登岡トリーターも腕が痛いと言っていたのに、園山トリーターは何の変化もなかったようで、さすが… となったのはここだけの話です。
ちなみに1日痛みが続いた後は、症状はかゆみに変わってしばらく続き、いつの間にか治っていました。

文字通り体を張って展示替えした逗子沖サンゴの水槽に、ぜひ改めて注目していただきたいです。
日陰でポリプを満開にさせるキサンゴの仲間たち、運が良ければご飯をあげている場面が見られるかもしれませんよ。
このままキサンゴが成長できる水槽になっていったらいいなと思います。

相模湾ゾーン

RSS