みなさんはもう夏休みの宿題は終わっていますでしょうか。実は新江ノ島水族館でちょっと観察をすれば、一つ二つ自由研究のネタが見つかります。
新江ノ島水族館にはいろいろな生き物がいて、泳ぎ方もさまざまです。多くの魚は主に「尾びれ」を左右に振って推進力を得ています。しかし、フグの仲間は背びれと尻びれを左右にぱたぱたと動かして泳ぎ、尾びれは使わず、時には畳んでいることもあります。エイは、体と一体になった胸びれを波打たせて滑るように泳ぎます。
ウミガメはオールのような前肢を使って泳ぎます。これはオタリアなども同様です。ペンギンもオールのような翼を使って飛ぶように泳ぎます。カワウソは指の間に水かきがあり、犬かきのように泳ぎます。ではアザラシはどのように泳いでいるでしょうか。
泳ぎ方を観察するだけでも、一つできてしまいます。さらに深く考えてみますと、より面白くなることもあるでしょう。
例えば、サメとイルカは姿が似ていますが、軟骨魚類と哺乳類で、分類学上では系統の離れた生き物です。どちらかというとイルカの方が後に現れていますので、イルカがサメに似たということになります。このように、系統の違う生き物が似たような環境に適応進化すると、形質や性質が似てくる現象を「収斂(しゅうれん)」といいます。姿形は似ているのですが、泳ぎ方は違います。どちらも尾びれを使って泳ぐのですが、動かす方向が違うのです。
サメは他の魚類同様、縦についた尾びれを左右に動かして泳ぎます。イルカは横に付いた尾びれを上下に動かして泳ぎます。これの理由としては「イルカは一度上陸して進化した哺乳類がまた海に戻って、サメや魚類の棲む環境に適応進化したから」です。でも、実はイルカが海に戻る前に、イルカのポジションに収まっていた、やはり陸上から海に戻った爬虫類がいたのです。彼らイクチオサウルスやショニサウルスは魚竜と呼ばれ、イルカのように前肢がひれ状になり、背びれも尾びれもあり、形状もそっくりでした。ただ、尾びれは縦に付いており、イルカは後肢が退化しているのですが、魚竜は後肢もひれ状になり、魚の腹びれのようになっていました。
つまり、泳ぎ方はサメなど魚類と同じように泳いでいたのです。なぜ、イルカと魚竜はもともと陸上生活に適応した先祖を持ちながら、尾びれの付き方が違うのでしょうか。
答えは、魚竜は爬虫類、イルカは哺乳類だということです。これらの違いの一つとして骨格の違い、足のつき方の違いがあります。トカゲを思い起こしてください。トカゲは足が体の左右に張り出すように付いています。そしてそれらを互い違いに動かすと体が左右に動きます。ヘビもトカゲも泳ぐときは、体を左右にくねらせて泳ぎますよね。一方イヌやネコなどは、体に対して垂直に足が付いています。特にチーターなどが全速力で走るとき、腰を中心に前後に体を屈伸させることで、ものすごいスピードを出すことができます。つまり、爬虫類は左右に体をくねらせるのが得意で、哺乳類は腰が前屈するような動きなのです。そのため、海の中を自由に泳ぎ回る形に適応進化したとき、魚竜の尾びれは縦に、イルカの尾びれは横になったのです。魚竜では、尾びれを左右に動かすために後肢が邪魔にならず、魚の腹びれのようになったのですが、イルカのように上下に動かすときには抵抗ができて邪魔になるために、後肢は退化しています。
という感じでさらに深く考察することもできます。
まだ間に合いますので、宿題に困ったらぜひ新江ノ島水族館へお越しください。
クロヘリメジロザメ