2026年07月20日
トリーター:北嶋

「えのすい大解剖図鑑」を解剖

今夏、えのすいでは 「えのすいまるごと大解剖展」 を 9月 30日まで開催中です。生き物の体の仕組みを紹介することだけでなく、水族館の設備や人の動きなどの仕組みも解剖して紹介しています。私は、春にトリーターとして戻ってくるまで、イベントの立案や作りこみ、運営を担うチームにいたため、この夏の「えのすいまるごと大解剖展」に合わせて制作した 「えのすい大解剖図鑑」 を執筆、編さんする作業をしていました。「えのすいまるごと大解剖展」の担当者や館内各署のスタッフ、トリーターと相談しながら、内容を作りこんでいったわけなのですが、どんな図鑑なのか、ちょこっとだけ解剖して、ご紹介したいと思います。

企画展は、えのすいにある星の数ほどの面白い(興味深い)ものの、どれにスポットライトを当てるのか、のアイデアから始まります。「この生き物に注目してほしい」、「最近話題の情報があるんだよな」、「この生き物とこのアニメでコラボしたい」などなど。担当や推しがいると、そこにスポットが当たるように、企画展のみならず、常設展示でもアピールをしまくっているのですが、その偏愛ぶりは、はたから見ると異様でもあるようなのです。推し仲間を増やす布教活動も重要なので、偏愛のこだわりは、魅力を伝える手技向上や、もっとよく知るための研究への注力にもつながります。もちろん、生き物が幸せになるために追求した、設備や飼育へのこだわりへも。日々、こんな偏愛を抱いて働いているスタッフの情熱を、生き物含めて全部ひっくるめて、お客さまに紹介したら面白いのでは、というのが今回の「えのすいまるごと大解剖展」のきっかけです。

ただ、面白いといっても、どんな風に見てもらうのか、どんな風に伝えるのかで、面白さが倍増したり、半減したりします。あとは、マニア目線と多くのお客さまの目線は違うので、誰にでもわかりやすく、楽しく知ってもらえるような展示にしなくてはなりません。今回のテーマは、「解剖」という言葉もそうですが、えのすいのあれこれをまとめて知ってもらうというのは、わかりやすくするのが難しい。そこで、持ち歩いたり、持ち帰れる「図鑑」と一緒に、ゆっくり楽しんでもらう方法にしてみました。
博物館などでは、企画展に付随した図録(解説などをまとめた冊子)があることが多いですが、えのすいの企画展ではつくったことがありません。今回作ったのは図録ではないですが、少し近い意味合いの内容になっています。いつも企画展では、またやってほしいと思ってもらえるような、記憶に残るようなものをお届けしているつもりですが、なかなかそのようなわけにはいかないので、記録としても、図録というのがあるといいなという気持ちを、以前から持っていました。図録と違う点は、「えのすいまるごと大解剖展」にはない内容まで載っていたりする点です。これは、「えのすいまるごと大解剖展」だけではない、楽しみ方もできるようにしたというのもあるのですが、館内の展示とは違ったまとめ方をした方が、分かりやすく読めるかな、という思惑もあっての構成になっています。ページ数の問題で載せきれなかった情報がたくさんあるので、掲載したネタは厳選しました。泣く泣く削ったネタもあれば、一部から突っ込みが入っても、絶対に載せたいと譲れなかったところもあります。特に後半のえのすいだからこその内容は、頭を抱えながらネタを選びました。いろいろな方にヒアリングしながら作っていて、私自身が、え! そうだったの? と驚く学びもありました。
また、生き物のイラストを、きのしたちひろさんに描いていただけたことがよかったです。生き物の研究者だからこそわかる、生き物の特徴として押さえた方がいいポイントをしっかり押さえつつ、かわいい! というのがすごい!! 私たちの細かいお願いも聞いてくださり、感謝しかありません。実物の良さや面白さを、膨らませて描けるってすごいです。こういう表情するよな、という目をしていたり、生き物への愛を感じられます。えのすいで生きている生き物たちと見比べて見てほしいです。もちろん、「えのすいまるごと大解剖展」にも、イラストをたくさん描いていただきました。

文章を考えたり、画像やイラストを決めて集めたり、資料を集めて読みつつも、理解しきれなかったら自ら解剖して確認したり、館内のいろいろな方からの案をまとめたり。周りを巻き込みつつ、私のみならず関わったみなが大変な、図鑑づくりではありましたが、こうやって形になったものを介して、みなさまにえのすいと生き物たちを楽しんでもらえたらうれしい限りです。

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