2025年12月25日
トリーター:吉田

「くらべてみよう サンゴとわたし」7:ポリプの話

現在開催中のえのすい特別企画展「くらべてみよう サンゴとわたし」が始まって約一か月が経ちました。みなさん、もう展示はご覧になられましたか? 企画展開催とともに始まったこの“サンゴ展日誌”も、早くも2週目が回ってきました。担当トリーターたちは、おのおのネタが被らないように他のトリーターが何を書くか探り合いながらネタを決めています。

さて、今回も何について書こうかと考えていたところ、先日お客さまから「ポリプって何ですか?」という質問をいただきました。「くらべてみよう サンゴとわたし」が始まって以来、トリーター日誌では幾度となく「ポリプ」という言葉が出てくるくらい、サンゴを語るには「ポリプ」は欠かせません。トリーターは当たり前のように使っている「ポリプ」という言葉ですが、実際はお客さまからするとあまり聞きなじみのない言葉なのかもしれないですね。

ずばり、ポリプとはこれです!!

トゲヤギの仲間トゲヤギの仲間

この花のように見えるひとつひとつがポリプです。口、触手、胃腔があり、見た目はイソギンチャクにそっくり。
ここでおさらいですが刺胞動物には、サンゴの仲間の他に、クラゲやイソギンチャクも含まれます。つまり、イソギンチャクはイソギンチャクそのものが単体のポリプの構造をしています。
一方でクラゲはというと …クラゲにはみなさんが思い浮かべるふわふわと水中を漂う時期と、岩などにくっついて底生生活を送る時期があります。この底生生活を送る時期がポリプの状態です。

クラゲ(サカサクラゲ属の一種)のポリプの拡大図クラゲ(サカサクラゲ属の一種)のポリプの拡大図

では、サンゴは …?
クサビライシやヒユサンゴのようにポリプひとつで生きているサンゴもいれば、ミドリイシやハナヤサイサンゴのようにポリプがたくさん集まってひとつの群体をつくっているサンゴもいます。

クサビライシクサビライシハナヤサイサンゴハナヤサイサンゴ

また、ポリプの下には骨格や骨片をもっているものなど、同じ「ポリプ」という構造を持っていることは同じでも形態はさまざまです。
「くらべてみよう サンゴとわたし」の開催中、クラゲサイエンスではクラゲのポリプとサンゴのポリプの標本を展示しています。ぜひ見比べてみてください。

クラゲサイエンス「サンゴとクラゲ くらべてみた」クラゲサイエンス「サンゴとクラゲ くらべてみた」

サンゴの仲間は一度定着すると移動はしませんが、ポリプは開いたり閉じたりしています。水槽内にいるサンゴの仲間を観察するときは、ポリプの状態を観察してみると面白いかもしれません。

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