相模湾ゾーン 岩礁水槽の主であるコブダイ。額が大きく張り出してこぶ状になることから「瘤鯛(こぶだい)」と名付けられていますが、ホンソメワケベラやニシキベラと同じベラの仲間です。厚い唇からは乱杭歯(らんぐいし)がちらりと見えて、額のこぶと相まってちょっと恐ろしげな風貌です。
しかし、この水槽にやって来た十数年前は 30cm 位でこぶは無く、シュッとスマートで、赤い体に白いラインが入っていました。性格は割とお茶目で、水槽の中に入ってこけ取り等をしていると、ブーツのつま先をくわえたり、肩越しにじっと見つめていたりします。昨年、コブダイよりもはるかに小さなホシササノハベラが縄張りを主張して、コブダイにちょっかいを出しているときも、怒ってやり返そうとはせず、のらりくらりとかわしていました。トリーターが設置した海藻の苗を、口で一つずつ落っことしていくいたずらをすることも。かつては擬岩の穴から岩の裏に入り込んで、出られなくなったこともあります。
そんなコブダイのくらす岩礁水槽に、最近新しくコブダイが搬入されました。大きさは 40cm 程度でしょうか。こぶはまだありません。そうしましたら元々いるコブダイにちょっと変化が。全体に淡い赤褐色だった体色が、明るいグラデーションがかかり、やや黄色味を帯びています。何となく縄張りを主張しているような感じも見受けられます。
コブダイはメスからオスへ性転換する魚です。50~60cm くらいまではメス、それより成長するとオスになりこぶが出てくるのです。そう、新しく搬入された小さい方のコブダイはまだメスなので、元々いた方のコブダイは、新しくやって来たメスのコブダイの気を引きたいのかもしれません。メスのコブダイは搬入してしばらくは、どこかに隠れていて姿を見せなかったのですが、ここ数日、水槽内を泳ぎ回るようになりました。オスのコブダイはちょっかい等は出さないものの、ちょっと距離を置いて気にしているようです。今後どのような変化が見られるでしょうか。みなさんも温かく見守ってあげてくださいね。