現在開催中のえのすい特別企画展「くらべてみよう サンゴとわたし」にちなんで、担当トリーターたちがサンゴについて思い思いの内容を日誌につづっています。
今回の日誌はその第 5 弾です!
すでに特別企画展を見てくださった方には、さまざまな特徴を持ったサンゴの仲間がいることが少しは伝わっているかなぁと思います。
まだ特別企画展は見ていないという方も、担当トリーターたちが書いたこれまでのサンゴ関連日誌を読んだら、「サンゴ」の仲間はかなり大雑把にまとめると「刺胞動物」と呼ばれるグループに属し、ここにクラゲやイソギンチャクの仲間も含まれるということが、なんとな~くわかるかと思います。
とは言っても、普通はサンゴと聞くと太陽光が降り注ぐ暖かい海のサンゴ礁を想像しますよね。そんな南国の明るい海とは全く異なる環境で暮らす、日陰を好むサンゴの仲間たちをご紹介します。
サンゴ礁を形づくる暖かい海のサンゴたちは体内に褐虫藻という藻類を共生させており、褐虫藻が光合成をすることでエネルギーを得ています。
しかし、キサンゴの仲間は褐虫藻を持っておらず(一部キサンゴ科にも共生藻を持つ種もいますが)自身のポリプで触手を伸ばして餌を捕まえて食べています。
光合成をする褐虫藻を持たないということは、太陽光が強く当たる明るい場所にいる必要もないということです。
したがって、キサンゴの仲間たちは岩がオーバーハングしているような暗い日陰の場所にも普通に生息しているのです。
ポリプが開いた状態のキサンゴの仲間たちえのすいではキサンゴの餌として、細かくミンチ状にしたアサリを長いスポイトで触手に直接吹き付けて与えています。
この作業をしていると、通りがかったお客さまが「イソギンチャクに餌やってる!」と話されているのをよく耳にします。
でも、惜しい・・! イソギンチャクではないんです!
キサンゴは分類というくくりで見てみると、刺胞動物門 花虫亜門 六放サンゴ綱 イシサンゴ目 キサンゴ科 に属するサンゴの仲間です。
以前、園山トリーターがイソギンチャク目の説明をしていた時に出てきましたね、“六放サンゴ綱”(え、そうだっけ? という方も大丈夫、次のように書いていましたよ)。
「六放サンゴ綱には、暖かい海の太陽の光がさんさんと降り注ぐイメージのイシサンゴ目の仲間(そんな場所にいないイシサンゴ目もいますが)が含まれます。」
え、藤田おかしなこと言ってるじゃん! となりましたか?
実はキサンゴ科がイシサンゴ目の中で明るい場所にいない例外の存在ともいえるのです。
実際に逗子沖で観察したキサンゴの仲間と八放サンゴの仲間この水槽の担当となってから、いかに自然の環境に近い展示を紹介するか、現地での潜水調査もおこないながら野外のようすを観察し、模索しています。
この企画展の期間中には、展示替えができるかと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください!