2025年07月11日
トリーター:杉村

最近気になる、“深海のウニたち”

みなさん、こんにちは。
今回は、私が最近気になっている “深海のウニ” について、ちょっと紹介しようと思います。

最初は、オウサマウニの仲間でヤマトオウサマウニです。
オウサマウニの仲間は とげが大きく太く、とげの幹の部分にさらに小さなとげがあったり ざらざらしている種が多く、とげの数は(磯にいるようなムラサキウニやガンガゼなどに比べると)多くはなく、体表には幾何学的に小さなとげの模様があるのが特徴的で魅力的です。
太くて立派なとげが “王様の冠” のように見えることからその名が付いていて、その名に恥じない風格のあるウニです。
また、種類によって体表のとげの模様がさまざまで、バリエーション豊かです。
死んでしまって殻だけになると、とげと殻が繋がっていた場所がとても芸術的な模様になってきれいです。
殻の下から光を当てるとより美しくなりますよ。
この殻の模様は、種を決める手がかりにもなっています。

ヤマトオウサマウニヤマトオウサマウニ

そしてもう1種、とても面白い小さなウニがいます。
カガミモチウニです。
カガミモチウニは、大きさが 5mm 程でオレンジ色の体色をしていて、沈木にくっついて沈木を食べています。
オスがメスの上に乗ってカガミモチのように見える行動をとる面白いウニの仲間です。
沈木の裏側に隠れていることが多いので、探すのが大変かも・・・。
水中ドローンの調査でも観察されていて、とてもかわいらしいウニです。
展示飼育中の個体は1個体です。

カガミモチウニカガミモチウニ水中ドローンで観察されたカガミモチウニ(協力:FullDepth)水中ドローンで観察されたカガミモチウニ(協力:FullDepth)

最後にちょっとだけ深海のウニの飼育について。
ウニの食性は全体的に雑食性で、磯場や海藻の繁茂する場所にいるウニは海藻を中心に食べていますが、深海ではほぼ海藻はないので、他のいろいろなものをなんでも食べているとされています
魚の死骸や海底に沈んで堆積した有機物から沈木までさまざまです。
オウサマウニの仲間は意外と貪欲で、一緒に飼育をしていた大きなカイメンの仲間を数日で全て食べてしまったこともあるくらいです。
まさかカイメンまで、、、 不注意でした。
飼育中の深海のウニたちは、同居中の生き物たちの餌と同じものを与えることができるので、わざわざ海藻を用意する必要がないことは、とても飼育がしやすいです。
※飼育自体は低温をキープしたりなど、大変なことは多いです。
現在飼育中の深海のウニたちは、水族館に来てから半年から1年以上の間、長い個体では数年の間、魚肉やエビなどで飼育ができていますので、やっぱり何でも食べるんですね。

動きがとても遅く、まるで水槽のレイアウトの一部のようで見過ごされがちですが、ぜひじっくり見てみてください。
深海のウニの魅力に気が付くかもです!!

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