2025年04月19日
トリーター:笠川

「419」飼育の日にデビュー

フィールドワークでは全てを知ることはできません。しかし、調査中には知り得なかったことが、飼育をすることで明らかになることがあります。
まず、直接じっくり観察することができるようになります。行動も間近で見られます。どんな風に泳ぐ? どんな風に餌をとる? 何を食べる? などなど。
うまく長期飼育できれば、どんな風に成長し、または繁殖してくれれば、もっとたくさんのことを知ることができます。調査中に見られなかった、多くの情報がわかる可能性があります。
そして、水族館で展示公開することによって、多くの人が知り得る機会ができ、みなさんにその生物やその生物が暮らす環境について、興味、関心をもってもらえたり、情報を発信することができます。

生き物ごとに生きる環境が違ったり、特性が違ったりと、我々もいつも手探りのことばかりです。この生き物にとっては良いことでも、違う生き物にとっては致命的になることもあります。
まず、できる限り調べて、よく観察しながら、少しずつ知見を増やしていきます。辛い、苦い経験も多いです。しかし、それを無駄にせず、必ず次に繋げられるように日々みんな頑張っています。

そのひとつの成果として、今年もハナビラウオ、成長した姿で展示水槽に戻ってきました!
昨年が 20cmちょっとだったのが、今年は 30cmをこえる大きさまで立派に成長しました。怪我や体調を崩すこともなく、すくすく大きくなってくれたかと思います。落ち着かせるための暗幕を毎朝めくるたびに、大丈夫かな元気かなと心配する日々もありましたが、途中からは成長を楽しめるようにもなりました。

2022年から本格的にハナビラウオの展示、飼育に挑戦し、毎年シーズンを迎えると、前年の反省点を活かし、少しでも長く少しでも大きくと奮闘してきました。今回もクラゲサイエンスで、クラゲとともに、昨年の 12月から今年の 2月まで展示し、成長に伴い、一度バックヤードにさげました。

バックヤードでは単独飼育でしたが、今日からは、展示水槽で他の魚たちと一緒です。ハナビラウオも緊張していることでしょう。
新生活を始めたみなさんと一緒です。新しい環境で、ハナビラウオも元気に過ごしてほしいと思います。みなさん、どうぞ温かく見守ってください。

※ 昨年 2024年06月01日 デビュー日の裏側

おまけ

クラゲ食から他の餌に切り替えて、初めて大きな糞を確認したときにうれしくて他のトリーターに話したときの一枚

手前に立派な糞があります。
奥にいるハナビラウオはまだ幼魚の名残があってあどけないです。

チラッとこちらを気にするハナビラウオチラッとこちらを気にするハナビラウオ

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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