2012年01月19日
トリーター:唐亀

私的オススメ


最近の私的オススメをご紹介したいと思います。

まず、イイダコ如何でしょう。
大水槽横に並ぶ通称「沿岸水槽」のトップにある大きな水槽は「旬の水槽」と呼んでいます。
季節の旬の生き物を展示しているのですが、夏の終わりころからイイダコを展示しておりました。
はじめのうちはちょこちょこと動き回りかわいらしい姿を見せてくれていたのですが、最近あまり姿が見えなくなっていました。
見えないだけでいるにはいるのですが。
ウチムラサキの殻などを砂に埋没させて自らも砂に埋まり、砂と殻の隙間から目だけ出しているのです。
そろそろ次の展示を・・・、という声が聞こえてきたころ年明けすぐ位ですか、朝の見回りの時に 1cmほどの小さなタコを見つけました。
ふよふよと漂っていたと思うとふわっと足を広げて砂地に舞い降りると、すぐに分からなくなってしまったのです。
とりあえずみんなに報告しましたが、それ以降なかなか見つからなくなってしまいました。
そのタコは親をそのまま小さくしたような姿と動きをしていました。
かつてマダコの子どもがふ化した時に見た姿とはかなり印象が違います。マダコの子どもは足が短く、浮遊生活をしていました。
何かを見間違えたのか、自分でも自信が無くなりかけていた頃、青い壁で何かが点滅しているのが見えました。
よく見ると直径数mmの白点が黒くなったり白くなったりしているのです。
さらによく見ると小さな目が確認できました。
壁のちょっとしたくぼみに子ダコが身を潜ませていて、近くを魚が通るたびに変色していたのでした。
ここ数日は子ダコの出現率が上がっているようです。
泳いでいたり、歩いていたり、なかなか見つからないかもしれませんが、ぜひ隅々まで探してみてください。

続いてヒメは如何でしょう。
イイダコの旬の水槽の並び、最後の水槽が最近大変振るわっております。
今の時期はアマダイの釣りが盛況です。その船にお願いして、アマダイ以外の魚をわけていただいたものです。
イズカサゴやオキトラギスに混じって、ちょっと見なれない風貌のスマートな魚がいます。
大きな背びれと胸を張ってポーズをとっているような姿のヒメです。
元来 200m付近までのやや深い海底にくらすため、あまりお目にかかることのない魚ですが、一見地味に見えるのですが良く見るとメタリックな美しさがあります。
ヒメはエソに近い硬骨魚類としては比較的原始的な部類なのですが、かなりカッコイイ魚ですので気にしてみてください。

今度はチョウザメ如何でしょう。
テーマ水槽に現在ロシアチョウザメがおります。
今月は龍をテーマにして展示していますが、ここにチョウザメがおります。
何でか?と思われる方もいらっしゃるようですが、解説版にもあるのですが、かつて明治時代に捕獲された怪魚がおりまして、それが新聞に掲載されました。
その時のふれこみが「龍魚」なのでした。
当時の記事には画入りで掲載されており、これがチョウザメだったのです。
日本にはチョウザメが分布していましたが主に北海道などの北部に限られ、鮭のように産卵のために川を上って来る姿が知られていましたが、本土では珍しい魚でした。
現在では日本では見ることがほとんどなくなりました(時折海では見られるようですが)ので、画の雰囲気に近いロシアチョウザメをチョイスしたのですが・・・ 。
当館に来た時はとてもかわいらしい 5cmちょっとの子どもでした。先輩トリーターも「小さいチョウザメ」ということで見に来るほどでした。
私はチョウザメを飼育するのが初めてなうえ、とても小さく心もとないため、かなり気にして世話をつづけました。
餌をあげてもちょっとしか食べませんし、食べてもお腹が膨れません。かなりやきもきしながら飼育して、先月末にテーマにお目見えとなりました。
現在では 2倍ほどになり体もがっしりしましたが、何分成魚は 4mといいますからまだまだ子どもで気が抜けないところもあります。
数回に分けて餌を与えますので、その際にお客さまとお話することがあります。
その時にチョウザメの説明をしているとチョウザメは知らなくても、キャビアの親だというと皆さん驚いていらっしゃいます。
もうすぐ展示変更になりますので、このかわいいチョウザメごらんになってみてください。

一寸違いますが、最近お気に入りの愛嬌ものをご紹介いたしましょう。
じゃぶじゃぶ池のハリセンボン兄弟
もちろん本当の兄弟ではありませんが、大きさや体色に差があり、区別がつくので何となく。
人の姿を見ると一目散にやってきて餌をねだる姿はとてもかわいらしいです。
ゆくゆくはぜひうおゴコロにと思っているのですが。

そしてもう一つ、テーマのフトアゴヒゲトカゲ
正面から見ると口角が上がっていてにんまりした表情に、小首をかしげるような姿がこれまた愛嬌があります。
ご来館の際にはぜひごらんになってみてくださいね。

◎相模の海ゾーン
◎テーマ水槽

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