2012年03月02日
トリーター:杉村

只今、シロウリガイ観察中!


先月の 2月25日に北嶋トリーターがJAMSTEC調査航海(相模湾初島沖水深1000m)から帰ってきました(航海日誌も見てね)。
トリーターと一緒にシロウリガイやサツマハオリムシの仲間などを水族館へ持ち帰りました。
“えのすい”では、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発についての共同研究を行っており、その成果として現在までのシロウリガイの飼育記録は 100日を達成しています。
特に長期飼育の難しいシロウリガイの飼育記録をさらに更新すべく日夜、飼育技術の開発の研究をおこなっています。

シロウリガイは、相模湾初島沖などの湧水域に生息している二枚貝の仲間です。
初島沖にはプレートの移動によって、海底にその沈み込みが起きています。
このプレートの沈み込みによって、海底深くに溜まっているメタンや硫化水素などが絞り出されて海底にじわじわと染み出して、湧水域を形成しています。
深海でよく知られる熱水域が「動」ならば、湧水域は「静」といったところでしょうか。

このような湧水域には海底から染み出している硫化水素などを使って、植物のように有機物を作り出す細菌がいます。
これを化学合成細菌といって、シロウリガイの体内にはこの化学合成細菌が共生し、作り出される有機物を栄養に生きています。

現在、“えのすい”の深海コーナーで一番大きな「化学合成生態系水槽」に、そのシロウリガイを展示飼育して長期飼育の記録更新を目指しています。
シロウリガイは、水槽に入れたばかりの時はただ泥の上に横たわっているだけですが、しばらくすると殻の間からアサリのように 2本の水管を出します。
そのうち長い足を伸ばし始め、最後にはなんと泥の中に立ちながら縦に埋まるようになります。
中には埋まらずに、しばらくの間ずりずり歩く個体もいます。
非常にゆっくり動く貝ですが、歩いた後は泥の上に道ができるので動いた跡がよくわかります。

私たちは技術開発のために毎日シロウリガイの状態や行動の観察を続けています。
ぜひ、みなさんもシロウリガイの行動を観察しに来てみませんか?
何か面白い発見があるかもしれませんよ!!

シロウリガイ (C)JAMSTECシロウリガイ (C)JAMSTEC

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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